2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞成熟度と鉄動態感応性グルタミン酸シグナル入力の関連性に関する研究
Project/Area Number |
03J08610
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中道 範隆 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経細胞 / NMDA受容体 / カルシウムイオン / 脱感作 / インターナライゼーション |
Research Abstract |
異なる期間間培養した大脳皮質由来神経細胞にCa^<2+>感受性蛍光指示薬を負荷したのち、5分間のNMPA刺激を一度行った。その後、細胞を洗浄してから異なる時間静置して、再び同濃度のNMDA刺激を行った。その結果、一回目の刺激終了後、細胞を5分間静置した場合では、いずれの期間培養した神経細胞においても、一回目のNMDA刺激時と同程度の蛍光強度堺が、二回目の刺激時にも観察された。しかしながら、25分間静置した場合では、培養3日目の細胞では一回目のNMDA刺激と同程度の蛍光強度上昇が二回目の刺激時にも観察されたのに対して、培養9日目および15日目の細胞では二回目の刺激による蛍光強度上昇は、一回目の刺激時よりも著明に減弱された。さらに、一回目のNMPA刺激終了後、45分間細胞を静置した場合では、いずれの細胞においても、二回目の刺激時に見られる蛍光強度の上昇は、一回目の刺激時よりも顕著に減弱された。そこで次に、細胞膜上のNMDA受容体数を検討するために、細胞膜表面をビオチン化したのち、ビオチン化標識された蛋白質を回収し、NR1抗体を一次抗体とするウエスタンブロット解析を行った。脱感作を生じやすい培養9日目の細胞にNMDAを適用し、刺激前、刺激終了直後、刺激終了25分後、および刺激終了45分後に、それぞれビオチン化標識されたNR1抗体陽性蛋白質の発現量を検討したところ、NMDA刺激前と比較してNMDA刺激終了直後では有意な変化は見られなかったが、NMDA刺激終了25分後およびNMDA刺激終了45分後では、ともに細胞膜上のNR1発現量は有意に減少することが判明した。以上の結果より、大脳皮質初代培養神経細胞のインビトロ成熟に伴い、NMDA受容体チャネルはインターナライゼーションに伴う細胞膜表面上の受容体数減少に起因する脱感作を受けやすくなる可能性が示唆される。
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