2003 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエにおけるper非依存性振動機構に関する研究
Project/Area Number |
03J08718
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉井 大志 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 概日時計 / per / 生物リズム / キイロショウジョウバエ / 概日振動 / 温度サイクル / per^<01> |
Research Abstract |
per非依存性振動機構の解明のために、平成15年度は以下の3点について解析を行った。 1.per非依存性振動体を駆動させる温度振幅の最小値を求めるために、2℃〜10℃の温度振幅の温度サイクル下でper^<01>とtim^<01>の活動リズムを計測し、その同調性を解析した。その結果、10℃振幅の温度サイクル下では明瞭であった活動リズムが、2℃振幅では不明瞭になった。しかし2℃振幅の温度サイクルにおいても活動リズムが観察されたことから、かなり小さい振幅の温度サイクルでもper非依存性振動が駆動されるらしいことが示された。 2.per非依存性振動体へのdClkとcycの関与を検討するために、per^<01>とdClk^<Jrk>及びcyc^<01>との2重突然変異系統を作成し、恒暗・温度サイクル下で活動リズムを計測し、per非依存性振動が現れるかどうかを調べた。その結果、per^<01>;dClk^<Jrk>とper^<01>;cyc^<01>の2重突然変異系統からはper非依存性振動と思われる活動リズムは観察されなかった。このことより、温度サイクルによって駆動される、per非依存性振動にはdClkとcycが必要であることが示唆された。 3.時計関連遺伝子pdf、vri、dbtのper非依存性振動機構への関与を検討するために、それぞれの遺伝子の突然変異系統pdf^<01>、vri^1/+、vri^5/+、dbt^<AR>を用いて、活動リズムの計測と抗PER抗体と抗TIM抗体によるウエスタンブロッティングを恒暗・温度サイクル下で行った。その結果、用いたすべての突然変異系統は温度サイクルに同調した活動リズムを示したが、PER、TIM量も温度サイクルに同調して変動した。従って、それらの活動リズムの背後にはPER依存性振動機構が関与することが示唆された。今後、per^<01>との2重突然変異系統を用いた解析により、これらの遺伝子の関与を検討することが必要である。
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