2005 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエにおけるper非依存性振動機構に関する研究
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03J08718
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉井 大志 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 概日時計 / per / 生物リズム / キイロショウジョウバエ / 概日振動 / per^<01> / per非依存性振動 / 温度サイクル |
Research Abstract |
平成17年度はper非依存性振動機構を解明するために、以下の3点について解析を行った。 1.前年度の研究結果より、per非依存性振動機構に時計遺伝子dClk、cycが関与することが明らかにされている。本年度の研究では時計遺伝子perとtimが欠損した突然変異系統per^<01>;tim^<01>を用いて、dClk、cyc、vriの周期的発現について恒暗・温度サイクル下で解析を行った。その結果dClkは高温期の前半にピークを示す周期的な発現パターンを示した。一方、cycは低温期にやや発現量が多くなることが分かったが、dClkほど明らかな変動を示さなかった。このことより、per非依存性振動の背後にはdClkの周期的な発現が関与することが示唆された。またdClkの転写抑制に関与するvriは低温期に増加し、dClkとは逆位相で周期的に変動することが明らかとなった。 2.per^<01>;tim^<01>は温度サイクル下で光依存的に歩行活動の位相が逆転する。その活動相の逆転の背後にはdClkやvriの発現パターンの逆転が考えられる。そこでper^<01>;tim^<01>に恒暗もしくは恒明下で温度サイクルを与え、それらの遺伝子発現について解析した。その結果、dClkとvriの周期的発現は、恒明と恒暗では同じ変動パターンを示した。よって、光依存的に起こる活動相の逆転には時計自身の振動の逆転ではなく、より下流の機構が関与することが示唆された。 3.光依存的な活動相の逆転に関わる光受容体の同定のために、cry^b、glass^<60j>、so^1とper^<01>との二重突然変異系統を作成して、恒明と恒暗の温度サイクル下で歩行活動を計測した。それぞれの二重突然変異系統ともにper^<01>に比べると不明瞭ではあるが、活動相の逆転が観察された。よってCRYや単眼、複眼といった光受容器が欠損しても光に応答して活動相の逆転が起こることが示唆された。
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Research Products
(2 results)