2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J08776
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
馬場 崇 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生殖腺 / Ahリセプター / 転写 / アロマターゼ / エストロジェン / 内分泌攪乱物質 |
Research Abstract |
Ah Receptor遺伝子破壊マウス(♀)の生殖能についての解析を行った結果、性周期の異常、産児数および排卵数の減少が観察された。これらの表現型の原因は、卵巣内の女性ホルモン(エストロジェン)濃度が十分なレベルに達していないことであるという事実を明らかにした。エストロジェンはアロマターゼによって卵巣内で合成されるが、Ah Receptor遺伝子破壊マウスにおけるアロマターゼ遺伝子の発現量をRT-PCRによって野生型マウスと比較すると、本来その発現が高レベルに誘導される時期に低レベルの発現しか示さなかった。以上の結果からアロマターゼ遺伝子が卵巣におけるAh Receptorの標的遺伝子のひとつであることが明らかとなった。次に、Ah Receptorがアロマターゼ遺伝子のプロモーターを活性化することを、培養細胞を用いたレポーター解析により明らかにした。さらに生体内において、Ah Receptorがアロマターゼ遺伝子のプロモーターに結合していることを明らかにするため、Ah Receptorとアロマターゼが共に発現している、卵巣顆粒膜細胞からクロマチンを精製し、クロマチン免疫沈降実験を行った。その結果、Ah Receptorがアロマターゼ遺伝子プロモーターに結合していることを明らかにし、さらにこれまでにアロマターゼ遺伝子の転写活性化に必要であることが知られている核内受容体、Ad4BP/SF-1とアロマターゼプロモーター上で複合体を形成していることを明らかにした。最後にAh Receptorのリガンドであり、内分泌攪乱物質として知られている化合物、DMBAをマウスに投与すると、アロマターゼ遺伝子の転写が性周期非依存的にAh Receptorを介して誘導されることを明らかにした。以上の結果をまとめて、現在Nature誌に投稿中である。
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