2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J08776
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
馬場 崇 基礎生物学研究所, 性差生物学研究部門, 日本学術振興会特別研究員PD
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Keywords | AhR / P450aromatase / Ad4BP / SF-1 / Estradiol / Fertility / Ovary / Transcription |
Research Abstract |
申請者はAhリセプター(AhR)の生理的な機能を明らかにするために、AhR遺伝子破壊マウスの生殖腺における詳細な表現系の解析を行った。その結果、AhR遺伝子破壊♀マウスは野生型と比較して産児数が減少することが明らかとなった。さらに詳細に解析を行った結果、卵巣重量の低下、性周期の異常、卵胞成熟の異常、排卵数の減少といった欠陥が観察された。また、♀の生殖能に必要不可欠であることが知られているエストロジェンの卵巣内濃度が顕著に減少していたことから、これらの欠陥の原因は卵巣における不十分なエストロジェン合成にあるのだろうと考えられた。 そこで、エストロジェンの合成に関与する酵素群をコードする遺伝子の発現を、野生型とAhR遺伝子破壊マウス間で比較したところ、テストステロンからエストラジオールの合成に関わるP450アロマターゼの発現に差があることが分かった。通常、アロマターゼは排卵前の時期に一過的にその発現が誘導されるが、AhR遺伝子破壊マウスではこの一過的な発現誘導が観察されなかった。以上の結果より、AhRはアロマターゼ遺伝子の転写を調節することによって、卵巣におけるエストロジェン合成を制御していることが分かった。 さらに、クロマチン免疫沈降実験や培養細胞を用いたレポーターアッセイより、AhRによるアロマターゼ遺伝子の転写調節メカニズムの検討を行った結果、AhRはアロマターゼ遺伝子5'上流領域に存在するエンハンサーエレメント、XRE(Xenobiotic Responsive Element)を介してアロマターゼ遺伝子の転写活性化を行っていることが分かった。アロマターゼ遺伝子の転写活性化においてAhRと、全てのステロイド合成酵素遺伝子の転写活性化に関わっていることが知られている転写因子、Ad4BP/SF-1の物理的相互作用が重要であることを明らかにした。
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