2005 Fiscal Year Annual Research Report
セミインタクト細胞系を用いたアグリソーム形成機構の分子基盤とその制御機構の解析
Project/Area Number |
03J08794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 忍 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アグリソーム / ABCA1タンパク質変異体 / GFP融合タンパク質 / 可視化解析 / アセチル化 |
Research Abstract |
アグリソームはく小胞体近傍で凝集した変異タンパクがダイニン依存性の逆行輸送により、微小管形成中心に輸送された結果、形成される凝集体構造である。このような異常タンパク質凝集・蓄積と神経変性疾患の発症との関連性が議論されているが、その形成における分子機構には未だ不明な点が多い。近年、新たに変異タンパク質を微小管形成中心に輸送することでアグリソーム形成への関与が示唆される分子としてヒストンデアセチラーゼ(HDAC)6が同定された。 そこで、本年度も引き続き、すでにプロテアソーム阻害剤存在下でアグリソーム形成が確認されているABCA1タンパク質変異体のGFP融合タンパク質発現培養細胞を用いて、アグリソーム形成の分子機構におけるHDACの関与について詳細に検討した。まず、各HDAC抗体を用いて、アグリソーム形成条件下の上記細胞を免疫染色した結果、やはりHDAC6がABCA1変異体により形成されるアグリソームにも局在することが観察された。次に、HDAC阻害剤であるトリコスタチンAをプロテアソーム阻害剤とともに細胞に添加すると、アポトーシス様のDNA断片化を伴った細胞死が観察された。トリコスタチンAだけを上記細胞に添加しても変化は起きなかった。また、アグリソーム形成・非形成条件下の上記細胞ライゼートを調製し、抗アセチル化リジン抗体を用いてウエスタン解析した結果、アグリソーム形成条件下で明らかにアセチル化が減少したタンパク質バンドが検出された。 ヒストンのアセチル化はクロマチン構造に影響を与え、遺伝子発現制御に関与すると考えられている。変異タンパク質蓄積時には、HDAC活性とヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性のバランスが変化し、特定の遺伝子発現のスイッチ切り替えが起こることで細胞が細胞死を免れ、アグリソーム形成へと向かう細胞応答経路が存在するのかもしれない。
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Research Products
(2 results)