2003 Fiscal Year Annual Research Report
森林生物起源の揮発性有機化合物による2次的エアロゾル生成と気候への影響
Project/Area Number |
03J08799
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松永 壮 東京都立大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アニュラー・デニューダー / カルボニル / 生物起源VOCs / エアロゾル / ガス-エアロゾル分配比 / イソプレン / 生物起源アルデヒド類 / 演習林 |
Research Abstract |
平成15年4月からアメリカのNational Center for Atmospheric Research(NCAR)へ3回の長期出張を行い、装置の調整、標準物質の調製を行った。そして、平成15年7月には、アメリカ・ノースカロライナ州にあるデューク大学の演習林において共同研究の一部として観測に参加した。今回の観測では、タワーを用いて、森林のキャノピーレベル(上端)よりも上の部分(地表から25m)と、キャノピーのした(地表から3m)の2点において、昼間は2時間おき、夜間は4時間おきの試料採取を行った。その結果、研究対象である、半揮発性の生物起源有機化合物のガス相における濃度変化は、はっきりとした日変化を示し、昼に高く夜に低いという、以前、北海道・母子里で行った観測結果と同様の傾向を見せたが、イソプレンの分解生成物である、グリコールアルデヒド、ヒドロキシアセトンおよびメチルグリオギザールについては、その濃度レベルが母子里のそれよりも15倍程度高い結果が得られた。このことは、ノースカロライナにおけるイソプレンの放出量が母子里に比べてはるかに多いことに起因していると考えられ、これらの化合物の森林大気中における濃度が生成速度によって支配されていることを強く示唆している。一方、n-ノナナールなどC_8-C_<10>の直鎖アルデヒドも、母子里と同様検出されたが、その濃度は母子里の結果とほとんど変わらず、イソプレンの分解生成物に比べるとかなり低いものであった。これらの直鎖アルデヒドは植物から直接放出される半揮発性化合物であると考えられているが、その放出量はイソプレンのそれとはあまり関係がないということが考えられた。また、イソプレンの分解生成物のガス-エアロゾル分配比が湿度と正相関を示した、これは、大気中に存在するエアロゾルに溶解することでこれらの化合物がエアロゾル相へ移っていることを示しており、母子里に比べてはるかに気温も高く有機物濃度の高いノースカロライナでも同様の現象が起こっていることが確認された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsunaga, S., Mochida, M., Kawamura, K.: "Growth of organic aerosols by biogenic semi-volatile carbonyls in the forestal atmosphere"Atmospheric Environment. 37(15). 2045-2050 (2003)
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[Publications] Michihiro Mochida, Kimitaka Kawamura, Nobuhiko Umemoto, Minoru Kobayashi, Sou Matsunaga, Ho-Jin Lim, Barbara J.Turpin, Timothy S.Bates, Bernd.R.T.Smioneit: "Spatial distributions of oxygenated organic compounds (dicarboxylic acids, fatty acids and levoglucosan) in marine aerosols over the western Pacific and off the coast of East Asia : Continental outflow of organic aerosols during the ACE-Asia campaign"Journal of Geophysical Research. 108(D23). doi:10.1029/2002JD 003249 (2003)
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[Publications] Matsunaga, S., Mochida, M., Kawamura, K.: "High Abundance of Gaseous and Particulate 4-Oxopentanal in the Forestal Atmosphere"Chemosphere. (印刷中).
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[Publications] Matsunaga, S., Mochida, M., Kawamura, K.: "The Variation on the Atmospheric Concentrations of Biogenic Carbonyl Compounds and their Removal Processes in the Northern Forest at Moshiri, Hokkaido Island in Japan"Journal of Geophysical Research. 109(D4). doi:10.1029/2003JD 004100 (2004)