2003 Fiscal Year Annual Research Report
未公開資料によるルネ・クルヴェル作品の精神分析的・革命論的・科学哲学的背景の研究
Project/Area Number |
03J08812
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 大悟 東京都立大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ルネ・クルヴェル / 精神分析 / 革命論 / 科学哲学 / シュルレアリスム / アンドレ・ブルトン / オブジェ |
Research Abstract |
平成15年度、本研究は、シュルレアリスム作家ルネ・クルヴェルの未公開資料(パリ・サント・ジュヌヴィエーヴ図書館内ジャック・ドゥーセ文庫所蔵の自筆「読書ノート:Ms.6929〜6942」他)を実証的に解読・整理するという平成15年度研究実施計画に基き、研究を遂行した。資料調査にあたっては、年度内通算3回のフランス出張を行った。第一回目は2003年6月29日から7月27日までの計29日間、第二回目は2003年10月22日から11月19日までの計29日間、そして第三回目は2004年3月3日から3月28日までの計26日間である。これらの出張により、当該「読書ノート」の大半を書写することができ、得られた情報をパソコンに入力することもできた。また、フランス国立図書館等(日本においては各大学図書館等)を利用することにより、作家の読んだ書物やその出版年、さらには読書対象となったページの特定作業等もかなり進めることができた。このように、クルヴェル作品の読解に新たな変更を迫ろうとする本研究の礎が、平成15年度の研究成果として、築かれつつある。本研究は、その性質上、作家の自筆ノートに対する精密な分析と、全体をとりまとめる包括的な視点が要求されるため、平成15年度内における「読書ノート」等の部分的公表は差し控えざるを得なかった。しかし、本研究の目的に照らして不可欠な作業として、論文「シュルレアリスムと科学哲学(1)-アンドレ・ブルトン『対象(オブジェ)の危機』読解」を執筆し、東京都立大学仏文研究室『佛文論叢』第15号(2003年11月30日発行、29〜54ページ)に掲載した。これは、クルヴェルが、シェルレアリズム運動の主導者アンドレ・ブルトンと、科学哲学に関する同じ書物の同じ個所に注目しているという調査結果を踏まえて、クルヴェル資料の相対化を目的として執筆されたものである。
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Research Products
(1 results)