2003 Fiscal Year Annual Research Report
郊外第二世代のライフコースと大都市圏地域の構造変容に関する研究
Project/Area Number |
03J08826
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中澤 高志 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大都市圏 / 地方圏 / ライフコース / 郊外第二世代 |
Research Abstract |
神奈川県横浜市と石川県金沢市に立地する公立高校に調査協力を依頼し,卒業生名簿を元にアンケート調査を行い,出身地によってライフコースがどのように異なってくるのか分析した.二つの高校は同じ程度の進学実績を持つ県立高校である.女性のライフコースについて,主に職業経歴に注目した分析からは,以下の2点が明らかとなった.第1に,金沢出身者に比べると横浜出身者は,大学進学や初職を決定する際に選択肢が多く,そのため本人の自由な選択に委ねられる傾向が強い.一方地方出身者は進学や初職の選択に際して,教師や親の影響がより大きく,このことが専門職への就職者割合を高める結果となっている.第2に、結婚・出産を経た後の就業経歴は、地方圏の場合には拡大家族の割合が高いことや専門職とくに公務員職に就いている人の割合が高いことが,就業継続の割合を高めている.つまり,女性の就業に見られる地域的差異は,単に地域労働市場の状況によって規定されるだけでなく,学校教育のあり方や世帯構造などの影響を強く受けている.以上の内容は,平成15年度人文地理学会において発表した. アンケート対象者のうち,横浜出身者は高度成長期後期に出生した郊外第二世代に当たる.彼らのライフコースが親世代とどのような違いをもっているのかを明らかにする基礎的な作業として,親世代である郊外第一世代に対してかつて行ったアンケート調査を再集計し,郊外第一世代のライフコースを明らかにした.郊外第一世代の約半数は地方圏の出身者であり,男性は進学や就職を期に,女性の場合は結婚を機に大都市圏に流入していることが多い.この点は,郊外で出生した郊外第二世代とは大きく異なるが,結婚して核家族を形成すること,世帯内における性別役割分業がはっきりしていることなどは,世代間での変化があまりないことが明らかになった.
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