2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J08827
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
樋口 貴広 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 運動制御 / 心理物理学 / 頸髄損傷者 / 車椅子 / 知覚運動協応 / 身体スキーマ |
Research Abstract |
手動車いすを利用して空間を移動する場合,障害物などに接触せず移動するために必要なスペースを正確に判断する必要がある.その判断には,車椅子のハンドリムを把持している際に上肢から得られる自己受容感覚が重要と考えられる.本研究では,上肢に知覚・運動麻痺が見られる頚髄損傷者が,どの程度正確に必要なスペースを判断できるかについて,心理物理学の手法を用いた4つの実験を行った.実験には手動車いすの利用経験が平均3.6年の頚髄損傷者と,利用経験の無い健常者が参加した.その結果,車椅子の利用に熟練した頸髄損傷者の場合,たとえ初めて使用する車椅子であっても必要なスペースを正確に判断できることがわかった.一方,健常者は二足歩行に対して必要なスペースを正確に判断したが,車いすに対して必要なスペースを過小評価した.また,頸髄損傷者は健常者に比べて上肢の位置知覚が不正確であったものの,空間のサイズを視覚的に判断した際にはより正確に判断できることがわかった.以上の結果,車椅子の利用に熟練した頸髄損傷者の場合,視覚的な情報を効率よく利用して空間移動に必要なスペースを正確に判断できること,また車いすの寸法が変わっても柔軟に対応できることが示唆された.これに対して二足歩行者の場合,車椅子に必要なスペースを過小評価することが明らかになり,障害物に対する接触事故の原因となりうることが示された. 平成16年10月より,Waterloo大学(カナダ)Kinesiology専攻,Gait and Posture研究室にて研究を遂行した.健常者を対象に,車椅子と二足歩行で狭いドアを通過する際の動作特性,及び眼球運動を測定し,健常者が車椅子に必要なスペースを過小評価してしまう要因を探った.この研究は現在も継続中である.
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Research Products
(4 results)