2003 Fiscal Year Annual Research Report
種々のガロア理論及びその逆問題に対する構成的研究とその応用
Project/Area Number |
03J08836
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
陸名 雄一 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガロア逆問題 / ネーター問題 / 生成的多項式 / 有限群の表現論 / 不変式論 |
Research Abstract |
研究課題「種々のガロア理論及びその逆問題に対する構成的研究とその応用」に基づいて研究を行い、本年度は以下の成果を得た。 1.置換表現に関するNoether問題は既に多くの有限群に対して研究が行われているが、(有理数体上の)有理性が判定されていない有限群も数多く存在する。位数32未満の有限群で上記の有理性が確定していないものは位数16の一般四元数群及び位数24の特殊線型群SL(2,3)の2つだけとなり、それらに対する有理性の解明は当研究分野に於ける大きな課題となっていた。前者に関してはJ.-P.Serre氏による最近の研究によってその非有理性が確定したが、その手法は後者には適用できないことが分かっている。当研究では全く別の手法を用いて後者の有理性を証明することに成功した。 2.有限群に対する「生成的多項式」の構成に必要にパラメーターの個数の最小値を「生成次元(generic dimension)」といい、その決定は一般に極めて困難である。当研究では橋本喜一朗氏・星明考氏(共に早稲田大)と協力して位数16の非可換2-群のいくつかについて、知られていた生成次元の上限の値を改良することに成功した。これらの値は生成次元そのものの値、すなわち最良評価であることが予想されている。 3.1次元及び2次元の線型Noether問題は全て有理的であることはよく知られている事実であるが、3次元の場合(32種類存在する)に関しては有理性が判明していないものが存在していた。当研究では大浦学氏(札幌医科大)との共同研究によってそれら全ての有理性を確定させた。 4.非線型Noether問題のひとつのタイプとして、代数的トーラスに由来する「純単項作用に関するNoether問題」がある。これは有限群の整数表現に対するNoether問題と解釈することができ、1次元及び2次元のものについてはその有理性が既に知られている。3次元の場合は全73種中72種についてその有理性が示されていたが、最後の1種については状況が複雑な為に手が付けられない状態であった。当研究ではこの場合について、星明考氏と共同でその有理性を証明することに成功した。 なお、上記研究の成果として数編の論文を現在投稿中である。
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