2004 Fiscal Year Annual Research Report
1790年から1830年における西ジャワ・バンテンの社会変容
Project/Area Number |
03J08970
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 淳 慶應義塾大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | バンテン / インドネシア / 歴史 / 植民地 / 経済 / 行政制度 / 海賊 / 貿易 |
Research Abstract |
昨年度にオランダ、イギリスで収集した資料を整理・分析し、以下の見解を得た。18世紀後半にバンテン王国の近海で頻発する「海賊行為」、「密貿易」は、対中貿易拡大に伴うイギリスの東南アジア貿易参入と密接に結びついていた。ベンガル産アヘンを持ち込み、中国商人を仲介として東南アジア各地で中国向け輸出産品を集めるという手法は、19世紀にイギリスがリードする東南アジア貿易システムが、従来その契機とされてきた1819年のシンガポール確保に50年以上遡って機能し始めていたことを意味する。また、1808年に始まるジャワの植民地支配は、1830年の強制栽培制度施行以降深化するものと従来考えられて来たが、資料の精査の結果、バンテンにおける支配は1819年の行政改革以降急速に浸透していることが明らかになった。これは中部ジャワに拡がったジャワ戦争がバンテン社会にほとんど影響をもたらさなかったこと、伝統的地方エリートに代わって任命された中間首長が、新たに地位と収入の拡大する機会を得て、積極的に政府に協力したことが要因と考えられる。 これらの見解を来年度に単行本として出版するため、今年度はもっぱら執筆に専念した。各章の草稿をもとに、文末に挙げた学会、研究会で報告した。また出版元として、オランダのE.J.Brill社と契約を結んだ。 研究報告: "The Sugar Industry in East Banten and Tangerang in the Second Half of the Eighteenth Century." 第17回国際歴史家会議(IAHA)、中央研究院、台北、2004年12月6-10日 "Piracy' and 'Smuggling' around Lampung and Banter : Emergence of an Interregional Trade Pattern,1750-1808." 第四回TANAPワークショップ、ガジャマダ大学、ジョグジャカルタ、The fourth TANAP Workshop, Universitas Gajah Mada, Yogyakarta, Indonesia, 2005年1月10-12日 "The impact of the Canton Tradeon Southeast Asia : Collapse of the VOC system and New Interregional Trade Pattern, c.1760-1800." 21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」主催ワークショップ、大阪大学、大阪、2005年1月22日
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Research Products
(1 results)