2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランス革命期地方都市の政治と権力〜ルアン市の「政治的現実主義」の諸背景
Project/Area Number |
03J09000
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 暁生 慶應義塾大学, 商学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス革命 / ルアン / 中央集権化 / プロソポグラフィ / フェデラリズム / カン |
Research Abstract |
本年度は、前年度の幾つかの研究成果を踏まえ、当該研究テーマに沿って、引き続き史料の収集と分析、それらを元にしたデータベースの作成を主に行った。特にフランス革命期を含む18世紀後半のルアン市政治指導者約350名、またルアン市との比較対象として選択したカン市の同じく政治指導者280名あまりのプロソポグラフィを目的としたデータベースの作成には、購入したソフトウェア「ファイルメーカーPro」がきわめて有用であった。このデータベース自体、完成までにはさらに2ヶ月ほどを要するが、すでに平成16年7月に「関西フランス史研究会」においてこれを使用した研究成果の一部を報告しており、また平成17年3月30日の「フランス革命研究会」においても、やはりデータの一部を利用した研究成果を発表予定である。データベースは、当該対象地域の政治指導者層の生活空間や文化環境といったファクターも含み、これらはテキストデータというよりも、画像データ(居住地域の地図、居住していた家屋、都市の文化施設などの外観)が中心となってくる。購入したパソコンは、すでにこのデータ整理のためにきわめて有効に機能している。 また新たに購入した書籍で報告された最新の研究成果も踏まえ、カン市において1793年6月〜7月にかけて起きたいわゆる「フェデラリスム反乱」の諸背景を、ルアンの当該時期における政治的スタンスとの比較を念頭に分析した研究論文「カンの『フェデラリスム』〜‘espritpur'による『反乱』」を、『一橋論叢』に発表予定である(巻号未定のため裏面「研究発表」には記載しない)。 学術論文発表やデータベースのWEB上での公開(限定的)など、本年度予定していた事柄は必ずしも十分に果たされたとは言えず、自省しなければならないが、データベースの充実や学会発表など最低限の実績をあげることはできたと考えている。
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