2004 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒、ピコ秒、ナノ秒レーザによる金属アブレーションの特性
Project/Area Number |
03J09095
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平山 陽一 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フェムト秒レーザ / アブレーション / 金属基板 / 熱影響 / アモルファス / 分子動力学法 / 2温度モデル |
Research Abstract |
フェムト秒レーザはパルス幅が電子・格子緩和時間よりも短いため、ナノ秒レーザに比べて熱的影響が小さいと言われている。フェムト秒レーザによる微細加工の産業応用に向けて、フェムト秒レーザによる熱影響がどの程度存在するかは重要となる。そこで本研究ではフェムト秒レーザアブレーションによる銅基板の熱影響に関する実験を行った。レーザ照射部をXRD(X-ray diffraction)測定、およびAr^+エッチングすることで熱影響層の厚さを評価した結果、照射フルエンスがアブレーションしきい値以下のときは大きく、低フルエンス領域では小さく、その後フルエンスが大きくなると熱影響層も大きくなることがわかった。ナノ秒レーザによる熱影響層の厚さは20-40μm程度であるという報告があるのに対し、フェムト秒レーザによる熱影響層の厚さは0.5〜3.5μm程度であり、特に低フルエンス領域では1μm以下であることがわかった。さらにピコ秒レーザによる熱影響層の厚さは3〜5μm程度であり、フェムト秒レーザアブレーションによる熱影響層はパルス幅の長いレーザに比べて非常に小さいことがわかった。 また、フェムト秒レーザによる銅のアブレーションを2温度モデルと分子動力学法を用いて理論的に解析した。2温度モデルで計算した電子による寄与を分子動力学法へ導入することでフェムト秒レーザアブレーションの理論計算を行った。温度分布からアブレーションレートと熱影響層の厚さを計算した結果、アブレーションレートは異なる2つの領域が見られ、実験結果と一致した。熱影響層の厚さは実験結果と完全に一致はしなかったが、オーダーはほぼ一致し、さらにアブレーションしきい値以下では大きく、低フルエンスでは小さく、高フルエンスでは大きくなるという外形が一致した。すなわち、シミュレーションによってアブレーションレートと熱影響層の厚さをある程度予測できることがわかった。
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Research Products
(1 results)