2004 Fiscal Year Annual Research Report
Musashi遺伝子欠損マウスを用いた神経発生における転写後調節機構の解析
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03J09133
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
芝田 晋介 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA結合蛋白質 / Musashi / 3'非翻訳領域 / プライオトロピン / mNumb |
Research Abstract |
ショウジョウバエで初めて同定されたMusashi(Msi)は、末梢感覚神経の前駆細胞における非対称性分裂を担うRNA結合蛋白質として報告された。哺乳類においても、神経幹細胞において強く発現するMusashi1(Msi1)が同定され、続いてMsi1と相同性の高い配列を持つMusashi2(Msi2)が同定された。神経系におけるMsiファミリー蛋白質の機能を明らかにするため、msi1遺伝子を欠損させたマウスを作成したところ、先天性の閉塞性水頭症を発症し生後2ヶ月以内に死亡することが分かった。詳細な組織学的解析の結果、脳室周囲に局在する神経幹細胞・神経前駆細胞の分化・増殖の制御異常によるポリープ形成が閉塞性水頭症の原因であることが明らかとなった。またmsi2遺伝子欠損マウスを作成し解析したところ、野生型と同程度の寿命を持ち成体まで成長するが、野生型に比べて有意に体重増加が不良であり、感覚神経障害や運動神経障害を伴うことが観察されたため、中枢・末梢神経を含む詳細な組織学的解析を行った。その結果、背側神経節(Dorsal Root Ganglia;DRG)の発達不全のために末梢神経系と脊髄との線維連絡が低下していることが明らかとなった。この分子メカニズムを解明するために、RNA結合蛋白質であるMsi2の標的遺伝子の解析を行ったところプライオトロピン(Pleiotrophin;ptn)が同定され、ptnのmRNAの3'非翻訳領域にMsi2が特異的に結合し、その発現を転写後調節していることが明らかになった。RNA結合蛋白質Msi1はmNumbのmRNAの3'非翻訳領域に結合して、その発現を転写後レベルで調節していることが既に報告されていることから、msi1およびmsi2が複数の標的遺伝子の翻訳を調節し、神経幹細胞の未分化性維持に強く関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] RNA-binding protein HuD regulates neuronal cell identity and maturation.2005
Author(s)
Akamatsu W, Fujiwara H, Mitsuhashi T, Yano M, Shibata S, Hayakawa Y, Okano HJ, Sakakibara S, Takano H, Takano T, Takahashi T, Noda T, Okano H
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United Mates of America (Proc Natl Acad Sci USA) (印刷中)
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