2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J09138
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
権 永詞 慶應義塾大学, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 老い / 高齢化 / 個人化 / 老人問題 / 近代化 / エイジズム / 老後 / Human Security |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は大きく次の2点にまとめられる。 1、社会的「老い」の理論化 2、ヒューマン・セキュリティという観点から見た社会的「老い」の分析 第1の点に関しては2004年度以前に行った調査からのデータを下に、現代社会における社会的「老い」の社会構築的な側面の理論化を試みた。1980年代以降の日本の都市部に生じた社会集団-家族、地域、職域など-の変容を理論の背景に位置づけ、個人の集団からの離脱が社会的「老い」に与える影響の考察が中心となる。これまで社会統合の基盤とされてきた集団の変容は、「老い」の定義を社会的なものから、より個人的なものへと変容させていく。現在、論文を執筆中であり、次年度以降に学会報告を行う予定である。また、理論の実証を視野に入れた調査を2004年7月〜8月にかけて国内で行った。これは、次年度以降の本格的な調査に向けての予備調査どして位置づけられる。 第2の点に関しては、近代化がもたらした政策課題としての「老い」を、ヒューマン・セキュリティという観点から考察するための基盤的議論の整理を行った。本年度は、日本の1970年代の福祉国家政策を取り上げ、主に都市部中間層を対象とした日本の社会保障制度の構築と、日本の近代化というマクロな社会変化との相互関係から・日本の文脈における「老い」の問題の個別性を考察した。これは異なる歴史的背景、文脈を持つ発展途上国との国際比較に向けて必要な手順であり、比較の尺度を導き出すために行った。この調査結果は、2005年4月にタイ・バンコクでEiji Gon "Ageing as Human Security"として報告を行う予定になっている。
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