2004 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性室温溶融塩中における金属の電気化学的挙動およびレドックス二次電池への応用
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03J09160
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山縣 雅紀 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 室温溶融塩 / イオン性液体 / レドックス二次電池 |
Research Abstract |
TFSI系室温溶融塩を用いた非水系レドックス電池を構築するためには,最適な酸化還元対を選択する必要がある.しかしながら,これらの系における遷移金属元素の酸化還元挙動はほとんど報告されていない.本年度は昨年度に引き続きTFSI系室温溶融塩中における鉄および鉄の錯体に注目し,この系での電気化学的測定等を行った. 1.ヘキサシアノ鉄酸イオンのレドックス挙動 前年度に引き続き室温溶融塩を構成する代表的な有機カチオン(1-プチルピリジニウム(BP^+),1-エチル-2,3-時メチルイミダゾリウム(EDMI^+))とヘキサシアノ鉄酸イオン(以下[Fe(CN)_6]^<3->)を合成し,それぞれBPTFSI, EDMITFSIの各溶融塩に溶解させ,電気化学的な測定を行った結果,[Fe(CN)_6]^<3->/[Fe(CN)_6]^<4->のレドックス対が-0.74,-1.00V(vs.Fc/Fc^+)に観察された.また,種々の溶媒中における[Fe(CN)_6]^<3->/[Fe(CN)_6]^<4->の酸化還元電位とその溶媒のアクセプター性には相関関係があることが知られており,前年度の結果と併せて各室温溶融塩のアクセプター性を求めた結果,アクセプター性は小さなものから順にBMPTFSI<EDMITFSI<BPTFSI, TMHATSI<EMITFSIとなり,既に報告されている光学的手法によって算出された順と等しいことが分かった.一方^1H-NMRの結果より[Fe(CN)_6]^<3->と有機カチオンは強い相互作用が働き,イオン対を形成していることが示唆された. 2.ハロゲン化鉄イオンのレドックス挙動 TFSI^-に比べてドナー性の高い配位子であるBr^-,Cr^-およびCp^-をFe(TFSI)_2を溶解させたBMPTFSIに添加し,鉄錯体を形成させ,その電気化学的挙動を調べた.Fe(III)/Fe(II)の電極反応はいずれも可逆的であった.また酸化還元電位はFe^<2+>(+1.lV vs.Ag/Ag^+)>FeCp_2,FeBr_4^-(-0.4V)>FeCl_4^-(-0.6V)>Fe(CN)_6^<3->(-1.5V)となり,配位子のドナー性の高い順に低電位側ヘシフトしていることが判明した.これは錯体の安定化によるものと推測される.一方,拡散係数を比較したところ,FeCp_2>FeBr_4^-,FeCl_4^->Fe(CN)_6^<3->の順に小さくなり,BMPTFSI中の活性種は自身の価数に強く依存していると考えられる.これは溶融塩構成カチオンとの相互作用が働くためと考えられる.
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Research Products
(2 results)