2005 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性室温溶融塩中における金属の電気化学的挙動およびレドックス二次電池への応用
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03J09160
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山縣 雅紀 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 室温溶融塩 / イオン液体 / レドックスフロー二次電池 |
Research Abstract |
TFSI系室温溶融塩を用いた非水系レドックス電池を構築するためには,最適な酸化還元対を選択する必要がある.しかしながら,これらの系における遷移金属元素の酸化還元挙動はほとんど報告されていない.本年度は昨年度に引き続きTFSI系室温溶融塩中における金属イオンの電極反応機構について検討を行った. 1.ランタニドイオンのレドックス挙動 Ln(III)/Ln(II)の酸化還元電位,Ln(III)の拡散係数,電極反応の可逆性などをサイクリックボルタンメトリー,クロノポテンショメトリー,クロノアンペロメトリーなどの電気化学的手法を用いて検討した.それらの結果に基づき,BMPTFSIおよびEMITFSI中におけるEu(III)/Eu(II),Yb(III)/Yb(II)およびSm(III)/Sm(II)の酸化還元反応はいずれも準可逆的あるいは非可逆的な電極反応であること,Ln(III)とTFSI^-との間には強い相互作用が存在しそれらの錯体を形成している可能性があること,Ln(III)/Ln(II)の酸化還元反応は電極に依存し,BMP^+の電極への特異吸着の可能性があり,酸化還元電位が低いほどその影響が大きいことなどを明らかにした. 2.鉄の電気化学的挙動 BMPTFSI中における鉄の電気化学的挙動について検討した.BMPTFSI中におけるFe(III)/Fe(II)の電極反応は準可逆的であり,またFe(II)の拡散係数の検討結果から,ランタニドの場合と同様にFe(II)とTFSI^-との間に強い相互作用があることを明らかにした.さらに鉄金属の析出および溶解反応についても検討し,結晶性の低い鉄の析出物が得られること,添加剤としてbpy(=ビピリジン)を添加した系は,平滑な析出物がえられることを示した.また電気化学測定により,Fe(III)/Fe(II)の酸化還元反応は電極に依存しないことから,ランタニドとは異なり,BMP^+の電極への吸着の影響がないことが分かった.
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Research Products
(3 results)