2004 Fiscal Year Annual Research Report
合成プローブを用いたマメ科植物就眠運動の生物有機化学的研究
Project/Area Number |
03J09163
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 貴謙 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 就眠運動 / 合成プローブ / 光親和性プローブ / 覚醒物質 / 生物有機化学 |
Research Abstract |
マメ科植物の多くは、夜になると葉を閉じ、朝になると葉を開く一日周期の葉の開閉運動、すなわち就眠運動を行うことが知られている。この運動は葉を開かせる覚醒物質と葉を閉じさせる就眠物質という、二種類の低分子活性物質によって制御されることが明らかとなっている。申請者は、これらの活性物質を基盤として分子プローブを開発し、就眠運動の分子レベルでの機構解明を目的として研究を行っている。現在までに、覚醒物質イソレスペデジン酸カリウムを基盤として蛍光プローブを開発し、活性物質の標的細胞が運動細胞であることを明らかにした。また受容体探索のための光親和性プローブを開発し、運動細胞膜画分には活性物質受容体候補タンパク質が存在することを明らかにした。しかし、これらのタンパク質の細胞内における局在性は不明のままである。申請者は、電子顕微鏡を用いた免疫化学的手法により局在性を解明するため、活性物質を基盤とした受容体検出用プローブの開発を行った。電子顕微鏡用プローブの分子設計は、光親和性プローブの分子設計に基づき、レスペデジン酸カリウムの糖部分に光親和性基としてベンゾフェノン基を導入し、検出のため抗体が市販されているフルオロセインを結合させることにした。現在この化合物の合成に成功し、電子顕微鏡による局在性について検討中である。 以上のように覚醒物質では分子レベルでの知見が得られてきたが、就眠物質に関しては分子レベルでの知見は得られていない。申請者は、覚醒物質同様、就眠物質を基盤として合成プローブを開発するため、就眠物質フィランツリノラクトンの全合成を行った。また、誘導体を用いた構造活性相間研究より、糖部分を修飾しても活性が低下しないという重要な知見を得た。これらの知見より、糖部分を修飾した蛍光プローブの合成を行うことができた。
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Research Products
(2 results)