2005 Fiscal Year Annual Research Report
合成プローブを用いたマメ科植物就眠運動の生物有機化学的研究
Project/Area Number |
03J09163
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 貴謙 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 就眠運動 / 合成プローブ / 覚醒物質 / 光親和性プローブ / 免疫電顕法 |
Research Abstract |
マメ科植物は夜になると葉を閉じ、朝になると葉を開く一日周期の葉の開閉運動(就眠運動)を行う。この運動は葉を開かせる覚醒物質と、葉を閉じさせる就眠物質という、二つの活性物質によりコントロールされることが明らかとなっている。申請者は、覚醒物質の一つであるイソレスペデジン酸カリウムを基盤として合成プローブを開発し、就眠運動の機構解明を目的として研究を行った。 既に活性物質を可視化する機能分子である蛍光プローブを用いた研究より、覚醒物質の標的細胞は就眠運動において中心的な役割を果たす運動細胞であることが明らかとなっている。また光照射により受容体分子を特異的に標識化する光親和性プローブを用いた研究より、運動細胞膜画分には210、180kDaの二つの受容体候補タンパク質が存在することが明らかとなった。これらのタンパク質は生理学的には運動細胞の原形質膜及び液胞膜に存在すると考えられるが、光学顕微鏡ではこれらの組織を区別して観察するのは困難であるため、電子顕微鏡による受容体分子の直接観察の検討を行った。 電子顕微鏡による生体分子の局在性解析法としては免疫電顕法が知られており、光親和性標識を利用して受容体タンパク質を適切な抗原で標識化することができれば、免疫電顕法と組み合わせることにより特定の分子を光ラベル化することが可能となる。そこで、光親和性プローブを基盤として開発した電子顕微鏡観察用プローブを用い、電子顕微鏡による受容体分子の局在性の解析を試みた。種々検討の結果、受容体は運動細胞の原形質膜に局在化することが明らかとなった。活性物質は運動細胞の原形質膜に局在化する受容体分子に結合することで、就眠運動を制御するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)