2004 Fiscal Year Annual Research Report
ALS原因遺伝子が誘導する神経細胞死を抑制する新規因子の解析
Project/Area Number |
03J09168
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金蔵 孝介 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ALS / ALS2 / SOD1 / alsin / PI3K / Akt / Akt3 / RhoGEF |
Research Abstract |
我々は2001年新規に同定された常染色体劣性遺伝ALSの原因遺伝子ALS2がコードする蛋白alsinがそのRhoGEFドメインを介して、常染色体優性遺伝ALSの原因遺伝子であるSOD1変異体と結合し、さらにalsin RhoGEFドメインがSOD1変異体の神経毒性を特異的に抑制することを見いだした(Kanekura et al.,JBC2004)。 本年度、我々はさらにalsinの持つ神経保護作用の解析をすすめた。 alsinはRhoGEFドメインを介して神経保護作用を発揮すること、さらにその神経保護作用にはRhoGEF活性が必要であると考えられたことから、まずalsinのRhoGEFドメインの標的となるRho family蛋白の同定を行った。その結果、リコンビナント蛋白を用いたpulldown法により、alsinはRho family蛋白のうち、Raclのみと特異的に結合することを見い出した。さらにalsinはRac1を特異的に活性化することを示した。alsinの神経保護作用はRNA干渉法によって内在性Rac1の発現を抑制することにより、ほぼ完全に失われたことから、alsinの神経保護作用は主にRac1が介していることを見いだした。 Alsin/Rac1の下流のシグナルについてさらに詳しく検討を行った結果、その神経保護作用はPI3Kの阻害剤Wortmanninで失われたことから、alsin/Rac1の下流にはPI3K/Akt抗アポトーシス系路の関与が示唆され、RNA干渉法による検討の結果、Akt3がalsinの神経保護作用に関与していることを見い出した。恒常活性型Akt3はSOD1変異体の神経毒性を特異的に抑制した(Kanekura et al.,JBC2005)。 我々が見い出した、二つのALS原因遺伝子SOD1とALS2の機能的物理的相互作用の解析はALSにおける運動神経細胞特異的細胞死機構の解明に大きく貢献すると考えられる。
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Research Products
(4 results)