2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質間相互作用を利用したイネ低温シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
03J09217
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
須藤 慶太 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 北海道農業研究センター・地域基盤研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | リン脂質生合成 / コムギ / 細胞内局在 |
Research Abstract |
イネは地球上の広範囲な地域で栽培されており、その環境条件は多様である。一方で、イネは熱帯原産であることから低温に対する感受性が高く、高緯度地域における安定な生産を脅かしている。コムギはイネと同じ単子葉植物であるが、低温に対する抵抗性が高い。従って、コムギの低温耐性に関与する遺伝子をイネに導入することにより、低温に耐性をもつイネを作製することが可能である。そこで本実験では、コムギの低温耐陛に関与する遺伝子を単離し、その機能を解明することを目的とした。 コムギは低温下で生育すると、細胞膜を構成する主要なリン脂質であるフォスファチジルコリン(PC)及びフォスファチジルエタノールアミン(PE)量が増加し、その結果として、低温耐性を獲得すると考えられている。酵母ではPEはエタノールアミンから、PCはコリンから、主にNucleotide pathwayと呼ばれる3段階の反応を経て生成され、それぞれにCholine/ethano lamine kinase(C/EKI)、CTP:phosphocholine/ethanolamine cytidylyltransferase(C/ECT)、Choline/ethanolamine phosphotransferase(C/EPT)という酵素が関与している。そこで、PE及びPC生合成において、網羅的な解析を行うために各酵素遺伝子cDNAのクローニングを試みた。その結果、少なくとも、3つのコムギのC/EKI(WC/EKI1,2,3)、1つのCCT(TaCCT1)、2っのECT(WECT1,2)、2つのC/EPT(TaAAPT1,2)のクローニングに成功した。それぞれの細胞内局在性を調べるために、GFP融合遺伝子を作製し、それらをパーティクルガンによって、タマネギ細胞に導入した。その結果、WECT1は細胞内で顆粒状のシグナルを示し、その形状から、ゴルジ体であることが示唆された。TaAAPT1は昨年度にERに局在することが明らかになっていたが、それとは異なり、TaAAPT2はERとゴルジ体に局在する可能性が考えられた。現在、WECT1やTaAAPT2で見られる顆粒状のシグナルがゴルジ体であるかどうかを確認するために、ゴルジ体のマーカーを作製中である。
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Research Products
(1 results)