2003 Fiscal Year Annual Research Report
成人教育・社会教育分野における教育・学習理論の比較研究:メジローを手掛りとして
Project/Area Number |
03J09226
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
常葉 美穂 (布施 美穂) 神奈川大学, 特別研究員(PD)
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Keywords | メジロー(Jack Mezirow) / 成人教育 / 変容的学習(transformative learning) / 変容理論 / アメリカ合衆国 / 理論研究 |
Research Abstract |
本研究の全体としての目的は、現代成人教育における著名な3人の理論家であるメジロー(J.Mezirow)、フレイレ(P.Freire)、リンデマン(E.C.Lindeman)の理論・思想の比較研究であるが、本年度はまずこれらの比較検討の軸となる、メジローの成人学習理論について研究を深めた。本年度の研究では、当初の研究計画に沿って、主にメジローの変容理論が生成される過程における時代的背景や、成人教育の関連・近接分野における理論・実践との関連・関係といった問題を重点的なテーマとし、当時の文献や先行研究を収集しつつ検討を行った。同時に、社会学・女性学・哲学などの知見を学び、筆者がこれまでM.Phil課程・博士課程等で行ってきた成人教育理論研究の方法論について振り返るとともに、最新のメジロー文献やここ10年ほど英語圏で拡大を続けている変容的学習関連の研究を含め、改めてレビューを行い、筆者のメジロー研究の方向性や位置づけについても考察を深めた。なお、研究計画段階では、夏期に海外に赴き、情報収集や研究者との研究交流を行う予定でいたが、SARSの世界的な流行等の理由から実行するに至らなかった。 また、第二次世界大戦後のアメリカ成人教育(およびその関連領域)の理論と実践の動向、特にコミュニティ開発や女性運動、グループ理論については、今年度はメジロー理論との関連でとりあげてきたが、それぞれが個々にかなりの広がりを持つ研究領域であることから、ひきつづき研究を継続してゆくことが必要である。これらの領域については、今後も収集し検討してゆくべき文献類も多く、テーマとしても、次年度以降のフレイレやリンデマンを中心とした研究において非常に重要な位置を占めることが予想される。メジロー理論との関係性の問題についても、さらに検討を続け、一定の研究の蓄積が達成された段階で、次年度中にその成果を発表してゆく予定である。
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Research Products
(1 results)