2004 Fiscal Year Annual Research Report
成人教育・社会教育分野における教育・学習理論の比較研究:メジローを手掛りとして
Project/Area Number |
03J09226
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
常葉 美穂 (布施 美穂) 神奈川大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | フレイレ(Paulo Freire) / メジロー(Jack Mezirow) / 批判的教育学 / 変容的学習(transformative learning) / 成人教育 / 生涯学習 / ジェンダー / 理論研究 |
Research Abstract |
本研究の全体としての目的は、現代成人教育における著名な3人の理論家であるメジロー(J.Mezirow)、フレイレ(P.Freire)、リンデマン(E.C.Lindeman)の理論・思想の比較研究であるが、本年度は、昨年度からのメジロー研究を引き継ぎつつ、新たにフレイレの教育思想について重点的な研究を行った。昨年度からの継続的な課題として、コミュニティ開発や女性運動など、成人教育の関連領域への理解をより深める必要があったが、今年度は特に、ジェンダー、フェミニズム、女性の学習といった分野に研究範囲を広げた。 従来の(成人)教育研究に対しては、近年さかんにジェンダーの視点からの見直しや問題提起がなされてきている。本年度はこうした研究蓄積に学び、ジェンダーという切り口を用いてメジローの「成人」学習理論を再検討するとともに、フレイレの「解放の教育学」についてもジェンダーあるいは女性の学習を糸口に、考察を深める作業を行った。 フレイレの教育思想に関しては、学校教育分野に係わるものも含め、彼の主張を総合的に把握することに努めたほか、批判的教育学・フェミニズム教育学の分野においてフレイレの理論がどのように解釈され、相互にどのようなつながりが見られるのか等について整理し学会発表を行った(日本社会教育学会第51回研究大会自由研究発表、2004年9月18日、於同志社大学)。 フレイレ文献および先行研究の収集・読み込みについては、まだ不十分な部分があるため、次年度への継続的課題とする必要がある。また、ジェンダーなどの社会的構造に対するメジローとフレイレの取り組み方の違いについては、次年度のリンデマン研究にも係わってくる問題でもあり、ひきつづき分析を深めてゆく予定である。
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Research Products
(2 results)