2004 Fiscal Year Annual Research Report
わが国企業の会計利益の時系列特性と各種経済変数との関連性に関する実証研究
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03J09262
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂子 (高橋 美穂子) 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 利益の持続性 |
Research Abstract |
本研究では、Kang et al.(1996)で採用されている方法によって利益の持続性を測定し、またBaginsky et al.(1999)を参考に、我が国における利益の持続性と経済および会計変数(具体的には企業の競争力および競争環境、会計方針)との関連性について検証している。しかしながら、持続性を測定する手法として本研究で採用したVariance Ratioは、サンプルに短期系列を含む場合にバイアスが発生する。そのため、例えばBaginsky et al.(1999)の採用するパラメトリックな手法により持続性を測定した場合でも、ここで示されたことと同様の分析結果がもたらされるか、結果の頑健性について検討している。 現在、LASBの主張する包括利益および従来作成されてきた純利益のいずれが投資家にとって有用であるかという議論がなされているが、本研究で得られる利益持続性、広くは利益の質にかんする知見は、会計基準の有用性を比較する研究へと応用が可能であると思われる。 利益の持続性を含む利益の質を議論する場合、それは会計制度のみならず、(上記の研究成果からも明らかなように)各種の経済環境の影響を受ける。そのため、異なる経済環境で活動する企業が作成した利益を比較することによって、会計基準の有用性を比較することはできない。経済環境の影響をコントロールするには、2つの会計基準に沿って2つの財務諸表を作成している同一企業の会計数値をサンプルとして、実証研究を行う必要がある。しかしながら、LASB基準による包括利益と、例えば我が国の基準によって作成された純利益の両方を報告しているサンプルは現在のところ存在しない。そこで、包括利益をシミュレーションにより作成し、純利益との持続性を比較することによって、この2つの会計基準の有用性を比較することができないか検討している。
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Research Products
(1 results)