2005 Fiscal Year Annual Research Report
わが国企業の会計利益の時系列特性と各種経済変数との関連性に関する実証研究
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03J09262
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂子 (高橋 美穂子) 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 利益の持続性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、利益の持続性が、企業特性や競争環境および会計方針に応じて異なるか否かを、日本企業のデータを用いて検討することである。具体的には、利益持続性をVariance Ratioを用いて測定し、それに影響を与えると想定される各種要因との関連性を検証した。 本研究では、企業特性として企業規模、市場占有率、製品差別化および製品開発力、資本集約度を、競争環境の代理変数として産業の集中度を表すHarfindahl指標を用いた。また、企業特性および競争環境とならんで、会計基準や経営者の選択する会計方針も利益持続性に影響を与える。そこで、会計方針の保守性と利益持続性の関連性を確認するため、減価償却および棚卸資産の評価方法を取り上げ、保守的会計方法と利益持続性の関連性を検証した。 分析には、日経NEEDSに収録されている一般事業会社の1964年3月から2004年12月までの個別財務諸表情報を利用した(上場廃止および消滅企業も含む)。サンプル選択の条件は、会計期間が1年であること、一株当たり税引前当期利益が連続して10期以上得られること、説明変数として利用するデータに欠損がないことであり、最終的に上下1%の外れ値を除いた2917社を分析対象とした。 回帰分析の結果、すべての説明変数について統計的関連性を得ることはできなかったが、利益持続性は企業の製品差別化の度合い、産業の集中度、保守的会計方針と関連を有しているとする統計的証拠を得た。すなわち、利益の利益持続性は、(部分的にではあるが)ビジネスモデルや経営環境の違い、そして採用する会計方針などを反映したものである点を、我が国のデータを用いて確認することができた。
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