2005 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀中葉のオランダ対アジア外交政策(1850-70)-日本問題を中心にして
Project/Area Number |
03J09304
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小暮 実徳 明治大学, 文学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | オランダ / イギリス / 一次史料 / 研究交流 |
Research Abstract |
本年度も主に一次史料をもちいた論文作成に従事した。博士論文は未だ審査中であるが、その中で扱わなかった問題について再検討し、論文として纏めた。簡単に説明すると、日本の開国はアメリカの武力によってなされた。アメリカはいわゆる鎖国を続けていた日本を世界に開国させたとして、その成果を自ら称え、その一方で鎖国状態に甘んじ、その開国を遅らせた国として、オランダを非難した。このアメリカの非難に対して、オランダは強く抗議することにした。その際オランダは、日本との良好な関係を世界に示すことで、自らの正当性を誇示しようとした。最適と思われたことは、17世紀初頭のオランダ・マウリッツ公の将軍にあてた手紙とそれに対する将軍の返書の原本を捜索することであった。これらの文書は多少知られてはいたが、当時どの文書館が所蔵しているかが分からなかった。そこでこの文書の原本が発見されれば、オランダと日本との互恵的関係、さらに当時の将軍の朱印状によりオランダは既に自由貿易が認められていた事実を具体的に証明することができ、それにより日本とオランダの良好な関係を歴史的に示すことが出来ると考えられた。同論文では、この事件の顛末について扱っている。 1月からオランダに再渡航し、博士論文の成就に向けてその仕事に従事した。これはほぼ終了した。そこで論文はライデン大学において再審査に入る予定になっている。3月にはイギリスへの研究旅行を実施した。国立公文書館と大英図書館において、イギリスとオランダの日本問題に関する協調関係を示す文書を検索・分析し、必要な史料を複写した。オランダに戻ってから、その史料を翻字し、さらに検討することで、その成果を博士論文に付け加えた。 研究に従事する一方で、当地の研究者との研究交流にも努めた。オランダではNIOD(戦争史料研究所)のペーター・ポスト博士と、またイギリスではSOASのアングス・ロキアー博士と面会し、自らのテーマについて意見交換をし、大変有意義な時間を持つことが出来た。
|
Research Products
(1 results)