2003 Fiscal Year Annual Research Report
「単一的ジェンダー」の比較分析ならびにジェンダー視角による経済諸学説の再検討
Project/Area Number |
03J09333
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
新井 美佐子 龍谷大学, 経済学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 女性労働 / ジェンダー / 1990年代 / 日本 |
Research Abstract |
研究課題にある「『単一的ジェンダー』の比較分析」の第1段階として、1990年代の日本について検討。「失われた10年」と称されるわが国の平成不況期を、労働市場、とりわけ女性労働の観点から分析した。 戦後の経済成長を支えた日本型雇用-終身雇用制および年功序列型賃金制に基礎を置く雇用システム-は、バブル崩壊後の不況期に入り、変容を迫られ、正杜員層に対するリストラの実施、非典型雇用および失業率の増大などが見られた。こうした事態は、かつての日本型システムにおける優位層である男性労働者にも及んだ。他方、この時期は、1986年に施行された男女雇用機会均等法をはじめ、労働の場における男女格差縮小を意図した法整備が、徐々にではあるが進められた。 これらの結果、わが国の労働市場におけるジェンダーも、従来のように「中核労働者=男性、縁辺労働者=女性」という単純な図式ではなくなったと推察される。すなわち、中核労働者層については、それが全体的に縮小していく中、女性の進出が見られ、かつ男性の衰退(参入・残留の困難)が確認された。また、特に女性労働者に関しては、正社員として好労働条件を保証された女性が増加する一方で、非典型雇用に従事する女性の労働条件が不況のあおりを受けてさらに悪化したため、二極化ともいうべき現象が生じたと考えられる。 このような労働市場における変容は、単に労働市場のみにとどまらず、わが国の標準世帯として戦後一般化した性別分業家族のあり方にも大きく関わり、少子高齢社会に少なからぬ影響を与えていよう。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 新井美佐子: "1990年代の日本の女性労働"International Symposium "New Paradigms of Political Economy in the Era of Globalization and Information Technology"(進化経済学会現代の日本の経済制度研究部会第15回研究会、於 名古屋大学、2003年7月29日)報告論集. 102-111 (2003)
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[Publications] ARAI Misako, LECHEVARIER Sebastien: "20 ans de politiques de promotion de l' egalite hommes-femmes au travail."Chronique Intermationale de l'IRES. No.86. 3-16 (2004)
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[Publications] ARAI Misako, LECHEVARIER Sebastien: "Japon.Les femmes sont-elles les gagnantes relatives de la crise sur le marche du travail?"Chronique Internationale de l'IRES. No.87. (2004)
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[Publications] ARAI Misako, LECHEVARIER Sebastien: "L'inegalite homme/femme au coeur de la segmentation du marche du travail japonais? Une prise en compte du genre dans l'analyse du rapport salarial toyotiste."Le Mouvement Social. No.special. (2004)
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[Publications] 新井美佐子: "経済学とジェンダー"ジェンダーを科学する(松本伊瑳子/金井篤子編)(ナカニシヤ出版). 236-251 (2004)