2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体構成有機物の年齢から見た陸上生態系の食物網の構造
Project/Area Number |
03J09346
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
兵藤 不二夫 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射性炭素 / 食物網 / 腐食連鎖 / 安定窒素・炭素同位体 / エサ年齢 / 栄養段階 |
Research Abstract |
本研究(研究課題名「生体構成有機物の年齢からみた陸上生態系の食物網の構造」)は放射性炭素同位体(14C)を用いて、食物網の研究に「時間軸」を取り入れる。食物網解析において、窒素・炭素安定同位体比を用いた研究はこれまで多くなされている。これら安定窒素・同位体比をもちいた研究は、いわば生物の食う食われるの関係を介した、ものの流れを明らかにする。本研究は従来の「ものの流れ」に加え、生物の生体構成有機物の放射性炭素同位体を測定することにより、「ある生物が利用している有機物は何年前に生産されたものか」を意味する「エサ年齢」という時間軸を新たに組み込む。これによって、栄養段階と各生物が利用している有機物の年令という二つの軸で食物網を定量的に解析し、環境変動に対する生態系食物網の応答を解するための基礎となる新しい研究手法を確立することを目的としている。 平成16年度は昨年度に引き続き、アフリカ・コートジボアールのラムトー研究所及びタイ・サケラート環境研究所において既に採集済みの分解者シロアリ、捕食者アリ、消費者ミツバチのサンプルを真空管内部で燃焼させ、二酸化炭素を分取し、鉄を触媒として水素で還元してグラファイトを作成した。作成したグラファイトをニュージーランドのラフター研究所に郵送し、その14C濃度を測定した。今年度は特にタイ・サケラート環境研究所において採集した1998年と2004年に採集したシロアリサンプルについて、重点的に分析を行った。その結果、シロアリ群集の体を構成する14C濃度は1998年から2004年にかけて減少していることを明らかにした。この傾向は大気中二酸化炭素に含まれる14C濃度の減少を反映していると考えられる。また2004年の11月にはマレーシア・サラワク州・ランビル国立公園において、シロアリ・アリ群集を予備的に採集し、その安定炭素・窒素同位体比を測定した。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Sulfur and strontium isotope geochemistry of tributary rivers of Lake Biwa: implications for human impact on the decadal change of lake water quality.
Author(s)
T, Nakano, I, Tayasu, E, Wada, A, Igeta, F, Hyodo, Y, Miura
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Journal Title
Science of the Total Environment (In press)