2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J09347
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
三浦 雅彦 愛知学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 日本思想史 / 近世仏教 / 鈴木正三 / 白隠慧鶴 / 面山瑞方 / 伝記研究 |
Research Abstract |
研究計画において着手した近世儒仏関係史料の収集は、前年度に引き続いて継続した。その結果、近世における儒者と仏教者の活動は、通説とは異なり多くの交流の契機を有していたことが判明した。これまで儒者は、いわゆる排仏論を論じるなどして仏教とは対立するものと考えられてきたが、じつは両者は漢詩文のやりとり等を通じて交流をもち、さまざまな問題について関心を共有する間柄だったのである。 史料収集において判明したもう一つの問題は、思想を研究する前提となる一次史料の史料批判の問題である。今年度は論文「鈴木正三の門流と近世洞済をめぐる一考察」を公表したが、これまで正三の研究は『鈴木正三道人全集』という一冊の史料集を頼りに進展したため、史料集に未収録の関係史料が日の目を見ず、しかもこの史料集の底本研究の不足が災いし、正三の真筆がほとんど確定されていないということが明らかとなった。論文では未見の史料の掘り起こしを通じて、正三の周辺には近世の臨済宗・曹洞宗の枠をこえた「正三派」という門流が形成され、独自の活動を展開していたことを実証した。 こうした調査を継続する中で「正三派」が建立した寺院が現在も各地に残ることが明らかとなった。これまでも史料収集とともに、これらの寺院を調査することで関係史料の整理につとめたが、こうした活動は今後も継続する必要があると考える。弟子が撰述した正三の伝記には誤りが多く、彼のライフ・ヒストリーはこうした史料的研究の成果をふまえたうえで歴史学的に再検討されなくてはならず、今後はその研究成果を論文の形で発表していく予定である。
|
Research Products
(1 results)