2005 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおける農産加工分野の適正技術協力スキームに関する研究
Project/Area Number |
03J09367
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 徹也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手
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Keywords | 適正技術協力 / NGO / 二国間スキーム / 大学間スキーム / 青果物流通 / 農村開発 / ネットワーク / 技術移転 |
Research Abstract |
インドネシアにおいて農産加工分野の適正技術を普及する上でNGOが果たし得る役割は限定的であることが明らかとなった。加えて、インドネシアのNGOネットワークは、相互行為的な関係の構築よりもむしろ当面の共通目的活動の遂行を優先せざるを得ない状況にあり、また当事者も目的活動指向型の価値観を有している傾向が強いことが定量的に解明された。NGOネットワークのこうした内閉的な傾向を自明の理として捉えるか、それとも批判的に捉えるかにより、今後の展望はそれぞれ異なる。前者であれば、インドネシアに既存の規範的資源、すなわちイスラーム法や慣習法(アダット)をどのように現代社会で再評価するかが、後者であればNGO団体間のネットワークに相互行為的な関係性を取り戻すための方策をどのように導入するのか、あるいはその方向へと誘導するのかを、実証研究の蓄積を踏まえて模索することがそれぞれ課題となるであろう。 他方、インドネシアの大学は教職員の社会貢献活動を制度的に義務付けており、かつその社会貢献活動は大学での講義・研究に加え教授職に昇進するための三つの必須要件のうちの一つであるため、インドネシアの大学およびその教職員は適正技術協力スキームの主要なアクターとなる可能性が高いものと考えられた。特に、ボゴール農科大学は農産加工分野の適正技術を普及する上で最も重要なアクターであるため、二国間ODAスキームとは別に、同大学からインドネシア国内の他の国立および私立大学への技術移転可能性を新たに検討することが今後の研究課題となるものと考えられた。例えば、中部ジャワ州プルヲコルト市に位置する国立大学であるスディルマン大学はインドネシア国民の間では「農村の大学」として知られており、その周辺農村地域を拠点とする青果物流通システムの最適設計のための、二つの大学間での技術移転可能性を研究することは今後に残された課題である。
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Research Products
(3 results)