2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J09434
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
畑 奈保美 東北学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 西欧中世史 / フランドル / 代表制 / 農村行政 / 都市-農村関係 |
Research Abstract |
本研究は、中世末期のフランドル代表制活動を農村地区(シャテルニー)を中心に分析することによって、この時期における低地(ネーデルランド)の地方自立主義(パルティキュラリスム)的な構造を、より明確で具体的な形で提示することを目的としてきた。本年度は、計画初年度であり、まず、代表制活動における農村地区の位置づけを概観するために、多くの農村地区の中でも最も顕著な役割を担っていた「ブルフセ・フレイエ」について、中世中期に遡るこの地区組織の形成と発展、及びフランドル伯領全体の代表制集会「四者会議」におけるこの地区と大都市との関係を分析した。その結果、主として、1.ブルフセ・フレイエは農村地区でありながらフランドル代表制において大都市と並ぶ地位を獲得したが、その背景では、この地区の沿岸湿地の開拓の中で組織された自由人裁判共同体の機関(シャテルニー参審人団)が司法・行政的に都市の自治機関と同じ権限を整備していったということが重要である。2.大都市と並んで「四者会議」に参加したブルフセ・フレイエは、しかし、会議の一翼をなす都市ブリュッヘとの利害対立を抱え、15世紀初頭には毛織物業をめぐって大規模な紛争に至るが、政治的地位を元に農村としては異例の自己主張を通すことが出来た、ということを明らかにし、雑誌論文としてまとめた。これによって、次年度以降、15世紀中期の都市と農村地区の対立局面を分析する上で、重要な手がかりが得られた。なお、この分析のため、国内では未所蔵の資史料を収集する必要があり、また次年度に予定する研究の準備も兼ねて、8月から9月にかけてベルギー国ヘント大学を拠点に調査旅行を行った。
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Research Products
(1 results)