2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J09434
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
畑 奈保美 東北学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 西欧中世史 / フランドル / ネーデルランド / 代表制 / 農村行政 / 都市 / ブルゴーニュ家 |
Research Abstract |
本研究は、中世末期のフランドル代表制活動を、これまであまり注目されてこなかった農村地区(シャテルニー)を中心に分析することによって、この時期、すなわちブルゴーニュ家の政治的統合の時期における低地(ネーデルランド)の地方自立主義(パルティキュラリスム)的な構造を、より明確で具体的な形で提示することを目的としている。計画第二年度である今年度は、フランドル農村地区の中で最も顕著な役割を果たした「ブルフセ・フレイエ」について前年度に行った概観をもとに、より詳細にフランドルの都市と農村の関係を考察するため、14世紀末から15世紀中期までのブルフセ・フレイエと都市ブリュッヘの対立を前者の観点から捉えなおすことに焦点を絞り、未刊行史料の調査に着手した。9月以降ベルギー国ヘント大学を拠点に、同大学の研究者から示唆を受けながら、ブルフセ・フレイエ関係史料として最も重要なシャテルニー会計簿(ブリュッセル国立総合文書館およびブリュッへ国立文書館所蔵)の分析を進めているところである。同史料は代表制研究の観点からみると、シャテルニーにおける会合の形態・参加者についてのみならず、シャテルニー行政自体の運営のあり方、都市との対立の諸原因と対立の経緯についても多くの貴重な情報を含んでいるため、中世末期のフランドル代表制においては都市だけではなく農村地区も積極的に活動を展開しており、両者が多様な関係を取り結んでいたこと、また、この時期に進展していくブルゴーニュ家による低地の中央集権化と都市・農村関係の変化とが相互に影響を及ぼしあっていたことを明らかにできるであろう。
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