2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストラクチュローム解析を駆使したPPARを標的とする抗糖尿病薬の開発研究
Project/Area Number |
03J09448
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 俊将 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | PPAR / DHA / 高度不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
PPARγの活性化薬であるピオグリタゾンやロシグリタゾンは2型糖尿病治療薬として臨床応用されているが肥満、浮腫、肝障害などの副作用が知られている。日本人の6人に1人が2型糖尿病予備軍となっている今、次世代の糖尿病治療薬開発の社会的要請が極めて強い。食の欧米化に伴い不足しがちな栄養素としてDHAやEPA等の高度不飽和脂肪酸が挙げられるが、これらはPPARγを弱いながら活性化する。我々は副作用の無い糖尿病治療薬の開発をめざしPPARγ活性のより強い高度不飽和脂肪酸誘導体の設計並びに合成を計画した。 PPARγのポケットが大きいことから炭素数が22の高度不飽和脂肪酸DHAが適切であると考えた。次にポケット内の水素結合可能な極性アミノ酸残基に着目し4-OH-DHAあるいは4-oxo-DHAを設計した。我々は4-OH-DHAおよび4-oxo-DHAを高効率で化学合成した。またそれらの誘導体約50種も合成した。これら誘導体のPPARγ標的遺伝子転写活性をルシフェラーゼアッセイ法により測定した。その結果、4-OH-DHAは現在最強の内因性のリガンドと考えられている15-デオキシ-Δ^<12,14->PGJ_2より強力な活性を4-oxo-DHAは同等の活性を示した。さらに4-oxo-DHA誘導体は糖尿病動物モデルに対して経口投与による血糖降下作用を示した。Preliminaryな結果であるが正常ラットへの大量投与実験においても、肥満、浮腫、肝障害などの副作用は認められていない。またアラキドン酸代謝物5HETEおよび5-oxo-ETEと同様に、4-OH-DHAおよび4-oxo-DHAはDHAの代謝産物と推測され、DHAの4位修飾誘導体は副作用の無い糖尿病治療薬として期待できることがわかった。
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Research Products
(1 results)