2005 Fiscal Year Annual Research Report
疾患モデル動物を用いた鎖骨頭蓋異形成症の歯牙の異常の研究
Project/Area Number |
03J09461
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北原 裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | PTHrP遺伝子欠損マウス / 骨形成 / 鎖骨頭蓋異形成症 / Runx2遺伝子欠損マウス / 歯の萌出 |
Research Abstract |
PTHrP遺伝子欠損マウスにおける歯胚の形成異常の原因の1つとして歯胚周囲に限局した骨吸収不全があげられることを我々はかつて解明した。さらに歯胚周囲の骨形成を評価するにあたり、胎生14日齢と胎生15.5日齢の、各々の日齢でのホモ接合子と野生型の下顎を比較解析した。また、歯胚周囲以外の部位においても評価を行うため同試料での下肢の光学顕微鏡像を比較したところ、ホモ接合子において両部位で形成された骨と骨芽細胞が明らかに多く認められた。各々の日齢のアルカリフォスファターゼ染色を行った切片を用い、骨形態計測により定量的に評価したところ、骨形成系のパラメターがホモ接合子で下顎、下肢ともに有意に増加していた。以上の事柄より、PTHrP遺伝子欠損マウスにおいて胎生の早期で全身性に骨形成が亢進しており、骨形成の増加もPTHrP遺伝子欠損マウスにおける歯胚の形成異常の原因であることが示唆された。 また、大阪大学との共同研究として、多数歯にわたる過剰歯や埋伏歯・萌出遅延を伴うヒト鎖骨頭蓋異形成症(CCD)と類似した表現形を持つRunx2遺伝子欠損マウスが提供された。そのマウスを飼育、繁殖し、歯の形成、萌出の検討を行った。まず、野生型とヘテロ接合子において下顎切歯、上顎切歯、上顎臼歯の萌出時期を出生直後から12時間おきに1日に2度、視診および触診により調べた結果、ヘテロ接合子で有意な歯の萌出の遅延がみられた。両遺伝子型において、TRAP染色を行った切片を用いて臼歯部の萌出路の破骨細胞表面を計測したところ、萌出直前の時期でヘテロ接合子において減少が見られた。以上のことからRunx2遺伝子欠損マウスはヒト鎖骨頭蓋異形成症(CCD)の疾患モデルとして有用であり、同疾患における歯の萌出遅延のメカニズムの1つとして萌出直前の時期の破骨細胞減少が示唆された。
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Research Products
(1 results)