2004 Fiscal Year Annual Research Report
新炎症性サイトカイン・OPNによる補体・MMPを介する関節リウマチ発症の分子機構
Project/Area Number |
03J09503
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯本 健司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | オステオポンチン / 関節リウマチ / 炎症 / 組織破壊 / アポトーシス |
Research Abstract |
リウマチ患者の炎症病巣である関節においてオステオポンチン(OPN)の発現亢進が認められる。OPNのKOマウスに抗II型collagen抗体(抗II C抗体)およびリポポリサッカライド(LPS)投与による関節炎(抗体誘導型関節炎)を誘導した結果、野生型マウスに比べOPN-KO miceでは、関節腫脹、関節軟骨破壊および軟骨細胞のアポトーシスが抑制されることを我々は報告した(PNAS 99,4556-4561,2002)。 免疫染色により関節炎を誘導した野生型マウスでは関節軟骨細胞においてOPN蛋白の発現増加が認められたことから、炎症による軟骨障害に対するOPNの作用を検討した。炎症性サイトカイン・TNF-αは野生型マウスより採取した肋軟骨細胞からのLDH(細胞障害マーカー)遊離を濃度依存的に促進し、TUNEL positive細胞(アポトーシス細胞)を増加させた。OPN-KO mice由来軟骨細胞にTNF-α刺激を行ったところ、野生型由来軟骨細胞に比べTNF-α刺激によるLDHの遊離が有意に低値を示し、かつOPN-KO由来軟骨細胞ではTNFによるTUNEL positive細胞(apoptotic cells)の増加が野生型に比して有意に抑制された。さらにTNF刺激によるCaspase-3活性の増加も野生型に比して有意に抑制された。 また、OPN-KO mice由来軟骨細胞にアデノウィルスを用い、OPNをoverexpressionした結果,OPNのoverexpressionのみではLDHの遊離にほとんど影響は認められなかったが、TNF-α刺激によるLDHの遊離は有意に増加し、レスキューされることが認められた。 これらの結果から、TNF-αによる軟骨細胞障害にOPNは必要であり、またひとつのメカニズムとしてTNFによるCaspase-3の活性化による軟骨細胞障害にOPNが働くことが示唆された。 以上のことから関節リウマチにおけるOPNの関節における発現増加は関節破壊を増強することが考えられる。
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Research Products
(1 results)