2003 Fiscal Year Annual Research Report
森林破壊が永久凍土の熱的安定性に及ぼす影響に関する研究
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03J09598
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩花 剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 永久凍土 / 活動層 / 森林攪乱 / 森林火災 / 熱収支 / 水収支 / 融解深 / 伐採 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画のうち,1)冬季の積雪および土壌水分移動が活動層の熱・水収支に与える影響ついては,平成15年の初春(融雪前)に成熟森林サイト,伐採地,火災跡地およびアラスにおいて空間的に積雪深と密度プロファイルの分布を測定した.これにより,活動層の熱・水収支に与える積雪プロファイルおよび分布の違いによる影響を評価するための初期条件を取得することができた.また冬季の土壌水分移動量については継続調査が必要である.2)森林サイト,伐採地,火災跡地においてのフラックス測定および活動層のモニタリングについては,昨年度から続く観測を継続し表層部のエネルギー・水収支解析を行い,その特徴を比較した.伐採直後の1年目においては融解深の増加がみられるものの,翌年からは土壌水分の維持による永久凍土の大規模融解抑制が起こることがわかった.火災直後には伐採直後よりも多くの地中熱流量が観測されたが,火災後2年目には急速な表面植生の回復によって正味放射量の地中熱流量への配分が抑えられる傾向が見られた.3)活動層の土壌熱物理係数の測定については,現地のピット調査および採取したサンプルから数値実験に必要な基礎データを収集した.さらに今年度まで森林攪乱後様々な年数を経過したサイトでの微気象観測をまとめることによって,植生が回復する場合の地表面熱・水収支特性の変化傾向について示すことができた.以上の基礎情報をもとに来年度は表面状態の変化に伴う永久凍土の熱的状態の変化に着目した数値実験を行うため,既存のモデルの適用および改良を中心に研究を進める.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Iwahana, G.: "A comparative study of the surface and the active layer condition at disturbed forest sites near Yakutsk"Proc. of 8th International Conference on Permafrost, Zurich, Switzerland. Vol.1. 483-488 (2003)
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[Publications] 岩花 剛: "東シベリア・ヤクーツク近郊のカラマツ林および森林攪乱地における活動層の熱・水収支特性"雪氷. 66・2. (2004)