2003 Fiscal Year Annual Research Report
JCウイルスの増殖制御に関与する新規核外輸送担体の同定と治療への応用
Project/Area Number |
03J09661
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 由紀 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員-PD
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Keywords | ウイルス / 分子生物学 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
JCウイルス(JCV)agnoprotein(agno)はウイルス発現蛋白の中で唯一細胞質に局在し、その機能は明らかでない。申請者はagnoの核外移行シグナルを同定し、そのモチーフ配列が核外移行因子CRM1によって認識されるロイシンリッチ配列であるにも関わらず、CRM1特異的阻害薬に影響されないことを見出した。この結果はagnoの核外移行にCRM1以外の因子が関与することを示唆している。そこで平成15年度は、(1)GST-pulldown法を用いたagnoのNES配列に結合する蛋白の単離、および(2)Yeast two hybrid screening法を用いたagno結合蛋白の同定を試み、以下の進展を得た。 (1)GST-pulldown法 agnoのロイシンリッチ配列を中央に含む15アミノ酸残基を、GSTとの融合蛋白として発現させ(GST-agnoNES)、GST-pulldown法を行った。しかし多くの非特異蛋白が共沈され、反応条件検討後も非特異結合を除去することができなかった。さらにGST-agnoNESは大腸菌内で強固な封入体を形成し、ラージスケールの解析に充分な量の融合蛋白を得るのが難しかったことも問題点のひとつであった。 (2)Yeast two hybrid screening法 GST-pulldown法と同様に、ロイシンリッチ配列を含む15アミノ酸残基をbaitとした結果、細胞骨格蛋白等を含む100種類以上の多様な陽性クローンが得られ、非特異クローンとの鑑別が困難であった。一方、核外輸送因子と結合する為にはagnoが核内に局在する必要があることから、核内で発現するagnoのN末端側をbaitとして再度スクリーニングを試みた。その結果、核膜の構造維持に重要な蛋白が陽性クローンとして同定された。現在両者の結合が核膜の構造及びウイルスの増殖にどのような影響を及ぼすかを検討中である。
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