2004 Fiscal Year Annual Research Report
JCウイルスの増殖制御に関与する新規核外輸送担体の同定と治療への応用
Project/Area Number |
03J09661
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 由紀 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | JCウイルス / Agnoprotein / 核外輸送 / 核膜 |
Research Abstract |
JCウイルス(JCV) agnoprotein (agno) はJCV発現蛋白の中で唯一細胞質に局在するが、その機能は明らかでない。研究代表者はagnoの核外移行シグナルを同定し、その細胞質局在が既知の核外輸送担体CRMIに依存しないことを見出した。そこでagnoの核外輸送に関与する新規核外輸送担体を同定するため、agnoをbaitとして酵母2ハイブリッドスクリーニングを施行した。その結果、ヘテロクロマチン蛋白HPIをagno結合蛋白として同定した。この結合はin vitro, in vivo両方において確認された。さらにin vivoにおいて、この結合はagnoが核膜に局在するときに起こること、この結合によって核膜の構造維持に必要なHPIとLamin B receptor (LBR)との結合が競合的に阻害され、その結果LBRが核膜から乖離されて核膜の微小構造が崩壊すること、またこの崩壊によって核内のJCV粒子が核外に放出されやすくなることを見出した。これまでJCVと同じヒトポリオーマウイルスに属するSV4Dにおいて、agnoはウイルスのcell to cell spreadに関与することが報告されているが、その機序はこれまで明らかにされていなかった。本研究によってJCV agnoは核内で複製・増殖した子孫粒子はヒトポリオーマウイルス間で非常によく保存されていることから、このagno機能はポリオーマウイルス間に共通して見られると考えられた。
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