2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J09669
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩本 真幸 福井大学, 医学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | レチナール蛋白質 / 光センサー / 膜蛋白質 / ロドプシン / 古細菌 / プロトン輸送 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
古細菌型レチナール蛋白質はいずれも類似したアミノ酸配列・立体構造を持ち,光励起により開始される光反応サイクル中に機能するが,その結果発現される機能は光駆動イオンポンプや走行性の光センサーなど多様である.本研究では光センサーであるファラオニスフォボロドプシン(ppR)の機能発現過程を解析し,これまで多数の知見が蓄積されている光駆動イオンポンプと比較することで,古細菌型レチナール蛋白質の機能分化機構を解明することを目指している.本年度は,ppRの光反応サイクルの速度制御機構に関する以下の知見が得られた.ppRをはじめ,光センサー型のレチナール蛋白質はイオンポンプ型のものと比較して遅い光反応サイクルを示す特徴があるが,これはMやOと呼ばれる光反応中間体の崩壊速度の違いに由来することが分かっている.我々は,フラッシュフォトリシス法や分光学的なpH滴定から,レチナールとアポタンパク質が形成するシッフ塩基の対イオンであるカルボン酸(Asp75)側鎖のpKa,と,O中間体の崩壊速度との間に高い相関関係があることを明らかにした.さらに,光駆動イオンポンプに匹敵するほど速いO中間体崩壊速度を示すppR多重変異体の作製に成功し,O中間体崩壊速度制御に重要ないくつかのアミノ酸残基を特定することができた.また本年度は,ppRの構造変化を電気生理学的手法で捉える目的で,アフリカツメガエル卵母細胞における発現系の構築を試みた.ppRのmRNAをインジェクションした卵母細胞に光照射したところ,微弱ながらも電流を検出した.しかしその電流は非常に小さく,詳細な解析には至らなかった.この原因としてppRの発現量が少ないこと,また照射光量の不足などが考えられ,今後はこの両面から改善を行う必要がある.
|
Research Products
(5 results)