2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外スフィンゴ脂質シグナルの生成機構およびその生物機能の解明
Project/Area Number |
03J09675
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷 元洋 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セラミダーゼ / セラミド / スフィンゴシン / スフインゴシン 1-リン酸 / スフィンゴシンキナーゼ |
Research Abstract |
マウス及びラット中性セラミダーゼは形質膜表層にII型の膜貫通糖タンパク質として分布するのみならず、未知のプロテアーゼにより切断され細胞外に分泌される (J.Biol.Chem.,278,10523-10530,2003)。今回、形質膜表層を含む細胞外領域における中性セラミダーゼのセラミド代謝機構について解析を行った。マウス中性セラミダーゼをCHOP細胞に過剰発現をさせると形質膜表層に分布し、細胞外にも分泌されるが、セラミドの分解産物のスフィンゴシン、およびその代謝産物であるスフィンゴシン 1-リン酸の量に全く変化は見られなかった。しかしながら細胞をバクテリア由来のスフインゴミエリナーゼで処理して細胞表層のセラミド量を増大させると、セラミダーゼ過剰発現細胞において有意なスフィンゴシン、スフィンゴシン 1-リン酸の増大が確認された。形質膜分布あるいは細胞外分泌されないセラミダーゼを過剰発現させてもスフィンゴシン量増大は確認されないことから、細胞外領域においてセラミダーゼはセラミドを分解することが示された。一方で、セラミダーゼを経由したスフィンゴシン 1-リン酸の生成は細胞質型スフィンゴシンキナーゼの過剰発現株において顕著に促進され、細胞表層で生成したスフィンゴシンは膜を透過して細胞内でリン酸化されることが強く示唆された。以上の結果は細胞外から細胞内へ移行する新しいスフィンゴ脂質シグナル生成経路の存在を示しており、大変興味深い。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Tani, H.Iida, M.Ito: "O-Glycosylation of mucin-like domain retains the neutral ceramidase on the plasma membranes as a type II integral membrane protein."J.Biol.Chem.. 278. 10523-10530 (2003)
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[Publications] H.Monjusho, N.Okino, M.Tani, M.Maeda, M.Yoshida, M.Ito: "A neutral ceramidase homologue of Dictyostelium discoideum exhibits an acidic pH optimum."Biochem.J.. 376. 473-479 (2003)
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[Publications] 伊東 信, 谷 元洋, 中川哲人: "翻訳後O-グリカン修飾による中性セラミダーゼの形質膜II型タンパク質へのリクルート:可溶型タンパク質を形質膜タンパク質に変換する新しい技術"蛋白質 核酸 酵素. 48. 1171-1178 (2003)