2004 Fiscal Year Annual Research Report
カントの「超越論的論理学」と批判の論理の関係について
Project/Area Number |
03J09690
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 忠 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カテゴリー / 判断表 / モナド / 内包的概念 / 外延的結合 / 意識 / 統覚 / 弁証論 |
Research Abstract |
カントの『純粋理性批判』における「超越論的論理学」を批判の論理学として把握するとともに、カント以前の論理思想、及び、18世紀のドイツ学校哲学の論理学、学校哲学の形而上学を射程に入れつつ、文献学的な解明を行なってきた。本年度は、ライプニッツ、マイヤー、ヘーゲルといったカントと関係のあるドイツ近世思想全般へ研究を広げ、また、現代の意味論や論理学、科学論との関係を探ることを研究の目的とした。 ライプニッツはカント哲学に通じる論理学の内包的視点を構築しており、認識論的な概念枠組みを多く用意したことが理解できた。但し、ライプニッツにおいては、概念の結合法的要素が多分に含まれており、概念の外延的視点も無視できない。また、カントと比べて、統覚や意識といったタームが、より広い存在論的脈絡の中で使われており、カントとの単純な比較ができない場合もある。マイヤーは、カントの論理思想に直接影響を与えており、カントは、マイヤーが用意した体系論に従って、とりわけ『理性論綱要』に従って、『純粋理性批判』を作り上げていったことが、研究の成果として明確に理解できる。特に、カントが『純粋理性批判』の中で論じた「分析論」と「弁証論」との区別が、すでにマイヤーの『理性論綱要』の中に見られる。ヘーゲルの論理思想はカントやライプニッツなど、ドイツ近世の論理思想における論理と概念の内包思想を極限まで推し進めた論理思想であると推察できる。したがって、ヘーゲルの論理学を正しく評価するには、ライプニッツのモナドにおける意識や表象の階層理論やカントのカテゴリー論における意味論的な理解が必要不可欠である。 以上、カントを中心とした近世ドイツの論理思想(ライプニッツ〜ヘーゲルの論理思想)にながれる思想的軸を考察し得た。
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Research Products
(2 results)