2003 Fiscal Year Annual Research Report
超分子カチオン構造を利用した分子性スピンラダー構造の構築と物性評価
Project/Area Number |
03J09806
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西原 禎文 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子磁性体 / スピンラダー / キャリアドーピング / 磁気希釈 / ジチオレン錯体 / 磁化率 |
Research Abstract |
これまでに作製した分子性スピンラダー[Ph(NH_3)]([18]-crown-6)[Ni(dmit)_2]の詳細な物性測定を行うとともに、超分子構造を利用した分子性スピンラダーへのホールドーピングや磁気希釈についても検討した。 1.分子性スピンラダーの物性評価 中村敏和助教授(分子科学研究所)と共同で固体^1H-NMR測定を行い、低温での磁気構造を明らかにした。また、大平聖子博士(理化学研究所)と共同で、イギリスにおいてμSR測定を実施し、これらの結果を複合して有機物スピンラダーのスピン状態を明らかにした。 2.分子性スピンラダーのキャリアドーピング [Ph(NH_3)](18-crown-6)[Ni(dmit)_2]中の{[Ph(NH_3)](18-crown-6)}^+ の一部を中性の{[Ph(NH_2)](18-crown-6)}に置換することでこの結晶のキャリアドーピングを行った。X線構造解析からドープされた結晶はもとの結晶と同形の構造を有しているが、伝導度はドープ前の塩と比較して最高で約10万倍高く観測された。結晶内のキャリア濃度の測定は、現在、ラマン測定等を用いて検討している。 3.分子性スピンラダーの磁気希釈 [Ph(NH_3)](18-crown-6)[Ni(dmit)_2]中の一部の[Ni(dmit)_2]^-(S=1/2)を非磁性の[Au(dmit)_2]^-で置換することに成功した。その結果、混晶中の[Au(dmit)_2]^-分子の濃度は試料作製時に制御可能であり、その濃度はラマン・IR測定より見積もることが可能であった。得られた混晶の磁化率の温度依存性は[Au(dmit)_2]^-濃度によって異なる振る舞いを示した。また、これら塩は全て良質な単結晶であるため、今後、様々な物性評価を行う上で適していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 西原 禎文: "Magnetic and ^1H-NMR spectroscope studies of [Ph(NH_3)](18-crown-6)[Ni(dmit)_2] having molecular spin ladder structure"Synthetic Metals. 137. 1279 (2003)
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[Publications] 西原 禎文: "Crystal Structure and Magnetic Properties of Gd_2([18]crown-6)_2(OH)_2(CH_3CN)_2[Ni(dmit)_2]_4 Complex Having f- and π-spins"Inorganic Chemistry. 42・8. 2480 (2003)