2004 Fiscal Year Annual Research Report
超分子カチオン構造を利用した分子性スピンラダー構造の構築と物性評価
Project/Area Number |
03J09806
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西原 禎文 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Ni(dmit)_2 / Au(dmit)_2 / スピンラダー / 圧力効果 / キャリアドーピング / 磁気希釈 / 磁化率 |
Research Abstract |
1.分子性スピンラダー[Ph(NH_3)]([18]crown-6)[Ni(dmit)_2](1)の圧力効果 スピンラダー構造を有する(1)塩の圧力下磁化率測定を行った。その結果,4kBar以下の低圧下では[Ni(dmit)_2]^-分子間相互作用の変化に伴うスピンギャップの減少が観測されたのに対し、4kBar以上の高圧下では磁気的な相転移を示唆する磁化率の劇的な変化が観測された。相転移の機構を解明するために高エネルギー加速器研究機構(KEK)で圧力下X線結晶構造解析を行った。その結果、超分子カチオンの配列変化に伴う構造相転移が観測された。 2.分子性スピンラダーのキャリアドーピング 昨年度、(1)塩中の{[Ph(NH_3)](18-crown-6)}^+の一部を中性の{[Ph(NH_2)](18-crown-6)}に置換することで分子性スピンラダーへのキャリアドーピングに成功している。本年度は、キャリアドーピングを施した試料を用いて高圧下の伝導度測定を行った。測定はラダー構造の桁・足方向への一軸圧(<15kBar)、及び静水圧(<4kBar)を印加して実験を行った。全ての圧力において比抵抗の温度依存性を調査したが、今のところ金属的な伝道挙動の出現には至っていない。 3.分子性スピンラダーの不純物効果の検証 (1)塩中の一部の[Ni(dmit)_2]^-(S=1/2)を非磁性の[Au(dmit)_2]^-(S=0)で置換し、その物性を調べた。特に、[Au(dmit)_2]^-分子が低濃度でドープされた試料を作製し、その磁化率の温度依存性を検討した。さらに、磁気構造の詳細を検討するためにイギリスの理研RALでμSR測定を行った。得られた結果から、無機物で観測された反強磁性オーダーは観測されなかったが、非磁性分子の精密なドーピングと磁気構造の解明に成功した。
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Research Products
(4 results)