2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J09812
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒川 孝幸 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Double Network / 高強度ゲル / 超低摩擦 / ゲル / 高荷重下摩擦 |
Research Abstract |
これまで、さまざまな化学種・荷重・速度域で系統的な一連の研究から、ゲルの摩擦を吸着モデルと反発モデルの2種類で統一的に議論できることを提唱してきた.しかし、それはあくまでもこれまでに得られていた結果から導かれたもので、測定した領域外の荷重や速度での結果を保証するものではない.そこで、以前より広い速度・荷重域にわたって観察することにより、従来の摩擦モデルの妥当性を議論したい.そのためにはサンプルの力学的強度および装置の性能に更なる発展が必要とされた.高い力学的強度を有するダブルネットワークゲル(以下DNゲル)を発明し、最大2.5MPaの大荷重をかけつつ微小な摩擦力を検知することのできる装置を開発することによりMPaオーダーの大荷重下でのゲルの摩擦挙動を観察することが可能となった.本研究は高強度DNゲルをさまざまな粘性溶媒中で膨潤させ、その大荷重下における摩擦挙動を調べることにより、高分子網目の運動性と摩擦との相関を幅広い速度範囲で調べた.溶媒を変えてゲルの摩擦挙動を観察すると、摩擦係数やその速度依存挙動がまったく異なる結果が得られた.ところが、それぞれの溶媒で膨潤したゲルの摩擦係数の速度依存性のプロットを適当な量をずらして重ね合わせるとあるマスターカーブが得られた.このときの速度軸の移動量は溶媒の粘度と相関があることがわかった.また、このように得られたマスターカーブはゲル摩擦の吸着モデルで説明ができる.すなわち粘度の高い溶媒中で摩擦挙動が低速度側にシフトするということはゲルの摩擦のメカニズムにおいてゲルの網目を構成している高分子の運動性が大きく寄与していることを示している.
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Research Products
(2 results)