2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連物質を用いた腐植物質の機能発現と環境浄化剤への応用
Project/Area Number |
03J09841
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺島 元基 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腐植物質 / 誘導体化 / ペプチド / グルコサミン / 凝集 / 臨界凝集濃度 / カルシウム / サマリウム |
Research Abstract |
腐植物質の多価カチオンによる凝集性の制御を目的に、腐植物質のカルボキシル基への糖質の導入およびその誘導体の凝集能の評価を試みた。水溶性縮合剤としてカルボジイミドを用いることで、D-グルコサミンを腐植物質のカルボキシル基にペプチド結合により導入した。未反応のカルボキシル基量から評価した修飾率は、縮合剤添加量の増加とともに21-38%へと増加した。しかしながら、50%を越える修飾率を得ることは、グルコサミンの立体障害等の理由により困難であることが分かった。一方、グルコサミン誘導体化腐植物質の赤外吸収スペクルには、アミドに由来する特徴的な赤外吸収バンドが観察された。同様に合成したグルコサミン誘導体化ポリアクリル酸についても同波数領域の赤外吸収バンドが観察されたことから、グルコサミンは腐植物質のカルボキシル基にペプチド結合によって導入されることが確認された。腐植物質の凝集性に対するグルコサミンの修飾の効果を明らかにするために、腐植物質および誘導体化腐植物質に対するプロトン、カルシウムイオン、サマリウムイオンの臨界凝集濃度(CCC)を評価した。腐植物質および誘導体化腐植物質に対するプロトンのCCCには相違が観察されなかった一方で、カルシウムイオンのCCCは腐植物質の修飾率の増加とともに高濃度側へとシフトした。このことから、グルコサミンによる腐植物質の修飾は、2価陽イオンによる凝集を抑制することが明らかとなった。しかしながら、サマリウムイオンに対しては凝集が促進し、修飾の逆効果が観察された。このことは、グルコサミンによる修飾が静電的斥力の低下をもたらすとともに高分子量化の効果が作用するものと考えられた。従って、腐植物質の凝集性の制御には電荷密度の向上とより低分子量化合物による修飾が効果的であることが推察された。
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