2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連物質を用いた腐植物質の機能発現と環境浄化剤への応用
Project/Area Number |
03J09841
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺島 元基 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 腐食物質 / 誘導体化 / 多価カチオン / 結合性 / 凝集性 / 擬似ミセル会合体 / 可溶化 / 分配係数 |
Research Abstract |
有機汚染物質に対する腐植物質の可溶化・分散機能を効果的に活用するには、水環境における多価カチオンによる結合に基づく凝集や粘土鉱物への吸着を制御する必要がある。本研究では、腐植物質のカルボキシル基へ金属イオンと結合力の低い親水性生体関連物質を導入することで腐植物質の金属イオン結合抑制を試みるとともにその凝集制御の検討を行った。また同時に、腐植物質を環境浄化に用いる際の工学的基礎を与えることを目的とし、腐植物質の擬似ミセル会合体の形成およびその可溶化能の定量的解明を試みた。 生体関連物質としてグルコサミンとタウリンをアミド結合により導入し、修飾率40%程度の腐植物質誘導体を得た。また、この腐植物質誘導体は、カルシウムやサマリウムとの結合を抑制することを見出した。さらに、環境水中の主要な多価カチオンであるカルシウムに対する凝集は修飾率の増加とともに抑制されることが分かり、その凝集抑制効果は静電斥力の強いタウリンによる誘導体化で効果的であることを見出した。一方、腐植物質の擬似ミセル会合体形成能において、その臨界ミセル濃度はカルボキシル基のプロトン化量とともに低下し、最大一桁程度まで低下することが明らかになった。また、この擬似ミセル会合体へのクロロベンゼン類の分配係数を相分離モデルに基づき評価できることを明らかにした。以上、本研究により生体関連物質を用いた腐植物質の機能発現の可能性を明らかにし、有機汚染物質に対する腐植物質会合体の可溶化機能の定量化に大きく貢献した。
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Research Products
(3 results)