2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターを媒介とした植物の窒素応答機構の解明
Project/Area Number |
03J09851
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
園田 裕 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / Ammonium transporter / アンモニウムイオン / 過剰発現型形質転換イネ / ポジトロン / NADH-GOGAT |
Research Abstract |
野生型イネ(WT)およびOsAMT1;2過剰発現型形質転換イネ(S1)について、アンモニウムイオン(以下AIと略)の吸収および同化能を検証した。それぞれの幼植物体について窒素飢餓処理を施した後,4時間のAIの添加処理を行った。これらの植物の根におけるAIおよびその代謝産物であるアミノ酸量の定量と、AIの同化酵素遺伝子であり、AI依存的に発現が増大するNADH-GOGATの発現量を調査した。その結果,根内のAI量は,WTと比較してS1では約1.4倍増加,グルタミン含量は,S1では約1.2倍増加していた。NADH-GOGATの発現量は、WTに対してS1では約2倍に増加していた。 次にポジトロン放出核種である^<13>NH_<4+>を用いて、WTおよびS1における窒素源の地上部への移行様態を非破壊的,二次元的に検討した。それぞれの幼植物体について窒素飢餓処理を施した後,0.03mM硫酸アンモニウムを30分処理した。測定方法として、^<13>NH_<4+>投与45分後における^<13>Nの移行度およびシグナルの蓄積程度について検討した。その結果、^<13>Nの移行はWTでは葉鞘基部までしかシグナルが検出できなかったのに対して,S1では植物体のほぼ全身に至るまでシグナルが検出された。さらに,茎葉部全体における^<13>Nの蓄積程度は,野生型と比較してS1では約3倍に増大していた。 本研究の結果から,S1ではAIの取り込み機能が増大するのに加え,NADH-GOGATの発現量が増加していたことから,窒素利用効率をも上昇していることが予測された。すなわち,OsAMT1;2遺伝子の発現量の改変によって,肥料の投与量を最小限度に抑えても高い生産効率を維持できるイネの作出が可能であり,「環境を汚染しない持続的農業体系」の実現が潜在的に可能であることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Ammonium uptake and assimilation in rice.2004
Author(s)
Yamaguchi J, Sonoda Y, Iwata A, Ikeda A, Tsutsui T, Morita-Yamamuro C, S.-G.Yao, Matsuhashi S, Fujimaki S, Sakamoto K, Arakawa K, Kume T.
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Journal Title
JAERI-Review 2004-025
Pages: 122-124
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