2003 Fiscal Year Annual Research Report
周産期における好中球機能低下に着目した乳房炎発症機構の解明とその制御
Project/Area Number |
03J09891
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山盛 徹 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 好中球 / NADPH oxidase / p47^<phox> / 細胞内シグナル伝達 / protein kinase C / phosphoinositide 3-kinase / Akt |
Research Abstract |
NADPH oxidaseによるスーパーオキシドの生成は、食細胞の殺菌機構にとって必要不可欠である。そのNADPH oxidaseを構成する細胞質因子の一つであるp47^<phox>のリン酸化は、oxidase活性化の重要な過程であることが知られている。現在までの研究により、phosphoinositide 3-kinase (PI3K)がこのp47^<phox>リン酸化に関与していることが示唆されているものの、PI3KがどのようにP47^<phox>リン酸化を調節しているのかについてはいまだ明かではない。そこで、PI3Kによるp47^<phox>リン酸化調節機構を明らかにすることを目的に研究を行った。好中球様に分化したHL-60細胞において、走化性因子formyl-Met-Leu-Phe(fMLP)により引き起こされたNADPH oxidase活性化ならびにp47^<phox>リン酸化は、PI3Kの薬理的阻害により抑制された。fMLP刺激はPI3K依存性のAkt活性化を引き起こしたものの、Akt阻害剤はfMLPによるNADPH oxidase活性に影響を与えなかった。さらにin vitro kinase assayの結果、Aktはp47^<phox>をリン酸化する能力がないことが明らかになった。興味深いことに、fMLP刺激によるcPKCおよびPKCδの活性化は、PI3Kにより調節されることが明らかとなった。加えて、PI3K阻害剤はphospholipase Cγ2の活性化を、そのチロシンリン酸化に影響することなく抑制した。これらの結果から、PI3KはAktではなくジアシルグリセロール依存性のPKCを調節することによりp47^<phox>リン酸化を制御しているものと考えられた。これにより、炎症応答に重要な役割を果たすNADPH oxidase活性化のメカニズムの一部が明らかとなった。このような炎症にかかわる細胞内シグナル伝達の解析は、分子標的治療などの炎症制御の新たな可能性に対する基礎研究となるものと思われる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tohru Yamamori, Osamu Inanami, Hajime Nagahata, Mikinori Kuwabara: "Phosphoinositide 3-kinase regulates the phosphorylation of NADPH oxidase component p47^<phox> by controlling cPKC/PKCδ but not Akt."Biochem.Biophys.Res.Commun.. (印刷中).