2003 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光導波路の高速高精度解析設計法の開発と新機能全光学信号処理デバイスの探索
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03J09958
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤澤 剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非線形光導波路 / 光カー効果 / 有限要素法 / フォトニック結晶 / フォトニック結晶ファイバ |
Research Abstract |
最近話題になっているフォトニック結晶ファイバ(Photonic Crystal Fiber : PCF)は,通常の光ファイバでは到底実現し得ない数々の特異な性質を具備しており,新しい光通信システムの構築に向けて,国内外で理論,実験の両面から研究が加速されている.特に,PCFを伝送路として用いるにはその分散特性を完全に把握することが必要であるが,ファイバ中で重要となる光カー効果を加味したうえでの分散特性の評価は行われていなかった.そこで本研究ではまず,光カー効果を考慮することが可能な非線形光導波路のためのフルベクトル有限要素法を開発し,PCFの分散特性を詳細に調査した.その結果,高光強度の下では,分散特性が大きく変化することを見い出し,研究成果を海外の権威ある学術誌で公表した。 PCFの研究が急速に進む一方で,フォトニック結晶(PC)を用いた光波回路に関する研究も劣らず活発に行われている.PCを用いた光波回路は光の波長濃度の大きさで急峻な曲げが可能であるなど,超小型光集積回路実現の可能性を秘めている.このような中で,光カー効果を用いたPCによる全光学信号処理デバイスに関する報告も行われ始めているが,その特性解析には主に時間領域差分法が用いられている.時間領域差分法は極めて簡便かつ有力な数値解法であるが,一般に計算機への負担が重く,PCのような円形を含んだ複雑な構造を忠実にモデリングできないといった欠点もある.そこで本研究では,同じく強力な数値解法でなおかつ,円形を含むような複雑な構造にも適用が容易な有限要素法を用いた非線形光導波路の解析が可能な数値解析ツールを周波数領域解析に対してだけではなく,時間領域解析に対しても新たに開発した.これらのツールを用いて,PCを用いた全光学信号処理デバイスを提案し,その特性評価を行った.この研究成果については,海外の権威ある学術誌に2篇の論文として公表した。
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[Publications] Takeshi Fujisawa: "Finite element characterization of chromatic dispersion in nonlinear holey fibers"Optics Express. Vol.11. 1481-1489 (2003)
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[Publications] Takeshi Fujisawa: "A Prequency-domain finite element method for modeling of nonlinear optical waveguide discontinuities"IEEE Photonics Technology Letters. vol.16. 129-131 (2004)
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[Publications] Takeshi Fujisawa: "Time-domain beam propagation method for nonlinear optical propagation analysis and its application to photonic crystal circuits"IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology. (掲載決定).